2010 Fiscal Year Annual Research Report
攪拌解繊による植物資源からの均一セルロースナノファイバー製造
Project/Area Number |
10J04452
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上谷 幸治郎 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | セルロースナノファイバー / ブレンダー / ナノ解繊 / コロイド / 界面化学 / ゼータ電位 / 表面力 / パルプバルーン |
Research Abstract |
当申請の研究目的は、1)植物繊維をブレンダーによってナノ解繊し、繊維の損傷が少なくより均一な幅約15-20nmのセルロースナノファイバーを得ること、2)解繊のパラメータを整理しマップ化すると同時に解繊メカニズムの詳細な観察を行い、解繊を通じて植物細胞の繊維構造解析を行う、という2点である。初年度において、均一なセルロースナノファイバーが簡便に得られる攪拌解繊法を確立し、解繊効率をパラメータごとに整理することが出来た。同時に、植物パルプがバルーン構造を伴って解繊に至るという極めて特徴的な過程が観察された。このバルーン構造を説明するに当たって、セルロースナノファイバーが持つ特異的な性質である親水性ナノ繊維の表面力に着目し、ゼータ電位の測定とコロイド界面化学の側面から明らかにすることで、攪拌解繊におけるメカニズムを具体的に説明することができた。攪拌解繊法は、セルロースナノファイバーの表面力を攪拌によって上手く引き出し、パルプの構造を利用してバルーン化させることで強い反発力を生じさせ、解繊に至らしめる方法であることが分かった。この親水性ナノ繊維は、他の無機有機ナノファイバーにはあまり見られない特徴で、セルロースナノファイバーが応用されるべき出口をより明確に示したと言える。さらに国内外での3件の学会発表(うちFinlandで行われたTAPPI国際会議において優秀ポスター賞第1位を獲得)および国際誌Biomacromoleculesへの投稿受理を経て、この攪拌解繊法は世界に認知されるナノ解繊技術の一つになった。セルロースナノファイバーのポテンシャルをさらに理解し制御できるようになるには、表面力や表面構造への理解が不可欠であり、攪拌解繊法はその大きな一歩と言える。
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Research Products
(5 results)