2012 Fiscal Year Annual Research Report
攪拌解繊による植物資源からの均一セルロースナノファイバー製造
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10J04452
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上谷 幸治郎 京都大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コーヒーリング / スプレードライ / ナノ線維長 / 排除体積 / コロイド自己組織化能 |
Research Abstract |
ナノ繊維を材料利用する際、長さや形状パラメータが極めて重要である。数μm以上の長いナノ繊維の長さについて、これまで電子顕微鏡や光散乱などが用いられたが、汎用性のある測定方法が存在しなかった。そこで申請者は、ナノ繊維の構造解析の切り口としてコーヒーリングという構造化手法を選んだ。コーヒーリングは、基板上で蒸発する液滴内でコロイドがコンタクトライン近傍に濃縮される現象である。サイズや形態が異なる粒子は、異なるリング幅を示した。リング幅の濃度依存性(プロットの傾き)が、繊維の形を示す形状指数となる。理論構築の結果、リングの体積を近似する事で、コロイドの排除体積が求まった。スギ由来のセルロースナノ繊維は、ランダムコイル形態をとり、軸比の小さい立体(半径632.22nmの球と同体積)に濃度1.08wt%で内包され、代表長さは11.33μm(軸比344)と算出された。コーヒーリング法は、デバイ長が求まる分散系であれば、コロイド種によらず長さ測定・形態の算出が可能であり、系間の相対比較に適し、半定量的な平均値が得られる。束や分岐を持つ多分散の天然繊維の解析に適し、ナノ繊維の平均的サイズ・形状が初めて簡便に比較・評価できるようになった。 さらに二次元および三次元における液滴乾燥手法(コーヒーリングおよび噴霧乾燥粒子化)を用い、繊維の形態と自己組織化能の関係を調べた。コーヒーリングの端において棒状セルロースウィスカーはネマチック転移したのに対し、半屈曲性セルロースファイバーは等方性を維持した。この2次元の液滴乾燥手法を3次元の噴霧乾燥(スプレードライ法によるマイクロ粒子化)に拡張した所、いずれの繊維も低濃度噴霧では非常に扁平なマイクロ粒子に乾燥した。特に棒状ウィスカーの粒子では、その縁に分厚い配向層が自己組織的に形成された。繊維の自己組織化能はその形態に大きく影響されたことから、セルロースナノファイバーのコロイド分散状態から高次構造を構築する際には、繊維の形態制御が必要となることが実験的に確認された。
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Research Products
(4 results)