2012 Fiscal Year Annual Research Report
時間知覚に与える速度の影響-速さの印象に基づく注意誘導からの検討-
Project/Area Number |
10J04466
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 健太郎 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 時間知覚 / 視覚的運動 / 運動速度 / MT野 / 数認知 / 運動統合 |
Research Abstract |
本研究は,視覚情報処理が時間知覚にどのような影響を与えるのかについて,特に運動処理に着目して検討を行っている。本年度は,主に以下の内容について明らかにした。 (1)速度と時間周波数の処理が時間知覚にどのような影響を与えるのかについて,新たにガボールパッチと輝度反転刺激を用いて検討した。実験の結果,単純な光点の点滅を用いた場合と同様に,輝度変化による知覚時間への影響の量は呈示時間に伴い増加した。一方で運動速度による影響の量は,呈示時間によらず一定であった。これらの結果から,速度と時間周波数の影響が異なるメカニズムによって生じていることを明らかにした。 (2)運動の一貫性が時間知覚に及ぼす影響を検討した。4本のバーの運動がアモーダル補完によりまとまった一つの物体の運動として知覚される錯覚刺激を用い,補完が生じる場合と生じない場合とで知覚時間の比較を行った。その結果,刺激の物理的な動きは等しくても,それらが一つの物体の運動としてまとまって知覚される場合には,ばらばらの運動として知覚される場合に比べて知覚される時間が長くなることを明らかにした。 (3)数の大きさの時間的変化が知覚時間に及ぼす影響を検討した。物体の数や数字の大きさが増加していく場合よりも減少していく場合の方が,全体の知覚される時間は長くなることを示した。この結果は昨年度に運動対象の速度勾配を操作して得られた結果と一貫しており,視覚的な刺激の時間的変化が知覚される時間に強く影響することを明らかにした。 これらの成果を4つの国内学会・研究会にて発表した。またこれまでの研究の成果として,査読付き論文2件を含む3件の英語論文が受理または掲載された。
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Research Products
(8 results)