2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管異常収縮の原因分子である新規スフィンゴ脂質の産生メカニズムの解明
Project/Area Number |
10J04493
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高田 雄一 山口大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / 活性酸素 / マクロファージ / 血管異常収縮 |
Research Abstract |
本年度は、血管異常収縮の原因分子であるスフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)が、OHラジカル依存的にスフィンゴミエリン(SM)から産生されることを、分子・細胞レベルで証明するための研究を行い、以下の成果を得た。 1)分子レベル:フェントン反応で発生させたOHラジカルによって、SMからSPCが産生されることを直接証明するため、OHラジカルおよびSPCを物質として直接定量化した。即ち、ESR測定法によりOHラジカルを同定・定量化し、また、安定同位体元素を標識したSPCを内部標準としたMS/MS測定法(MRM)を用いて、SPCを定量化し、以下の結果を得た。 (1)フェントン反応の基本条件である『鉄イオン・過酸化水素・酸性側pH』という条件において、OHラジカルが著明に産生され、その反応溶液中にSMが存在する場合、SPCが経時的に産生された。 (2)フェントン反応の抑制剤存在下では、(1)のSPCの産生量が顕著に抑制された。以上より、OHラジカル依存的にSPCが産生されることが直接証明された。 2)細胞レベル:本研究では、SPC産生メカニズムの基盤として、酸性側pH且つ過酸化水素が豊富な、マクロファージのライソゾーム中における赤血球消化を想定している。そこで、ヒト単球系細胞THP-1を、PMA刺激によりマクロファージ様細胞に分化させた後、オプソニン化した赤血球を貪食させ、SPC産生量を測定した。現在、貪食時間等を最適化している段階ではあるが、通常の赤血球を貪食させた場合では、SPC産生量が増加するのに対し、ヘモグロビン不含の赤血球膜ゴーストを貪食させた場合では、SPC産生量は増加しないという結果を得ることに成功した。さらに、ライソゾーム中でのSMの分解という点において、本仮説によるSPC産生と競合するASMaseのsiRNAによるノックダウンを目指し、ウエスタンブロット条件の検討を行い、結果として、微量サンプル中でのASMaseの検出に成功した。
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Research Products
(3 results)