2010 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母核膜孔複合体変異株を用いたmRNA核外輸送の素過程と細胞内連携機構の解明
Project/Area Number |
10J04558
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
渡邉 常義 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 分裂酵母 / 核膜孔複合体 / mRNA核外輸送 / スプライシング / 転写 / 遺伝子発現 / Nup85 / ptr5 |
Research Abstract |
核膜孔複合体因子Nup85に変異を持つptr5変異株は、制限温度下においてpoly(A)^+RNAを核内に蓄積させ、mRNA核外輸送阻害を示す。ptr5/Nup85のmRNA核外輸送における機能を調べるため、Ptr5/Nup85と相互作用する因子の探索を行った。その結果、Thp1およびSac3をその候補として同定した。ptr5変異株内でthp1^+遺伝子またはsac3^+遺伝子を過剰発現させると、ptr5変異株の表現型を抑制することが分かった。Tbp1とSac3は、核膜孔付近でmRNA核外輸送と転写反応を共役させることで知られる、TREX2複合体を構成している。以上のことから、分裂酵母Ptr5/Nup85がTREX2複合体と相互作用し、転写反応に関与している可能性が示唆された。今後はタンパク質レベルで相互作用の検討を行う。 ptr5^+/nup85^+遺伝子はスプライシング関連遺伝子と相互作用を示す。Ptr5/Nup85とスプライシング反応との機能的な関連を調べるため以下のような解析を行った。レポーターとしてtbp1^+遺伝子を外部から導入し、ptr5変異株内で過剰発現させ、Cy3プローブを用いたFISH解析によるtbp1^+ mRNAの可視化解析を行った。この際、tbp1^+遺伝子に存在するイントロン配列を含む場合と除去した場合で、mRNA輸送効率に差が生じるか比較を行った。その結果、レポーターmRNAはイントロン配列の有無に関わらず核内には蓄積していないことが分かった。以上の結果から、核膜孔複合体因子であるPtr5/Nup85が、ある特定の遺伝子(群)の発現にのみ関与している可能性が示唆された。
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