2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04641
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福田 茉莉 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | QOL(Quality of Life) / SEIQoL / 難病 |
Research Abstract |
本調査の目的は患者主体のQOL評価法の実施とその効果について検討するものであった。特に緩和ケアや難病ケアのケア目標としてQOL概念を用いる際には,医療者だけでなく患者の視点を重視したQOL評価法の実施が重要となってくる。本調査では患者主体のQOL評価法のひとつであるSEIQoL-DW (The schedule for the evaluation of quality of life-Direct Weighting)を用いてQOL調査を継続的に実施した。調査協力者は病棟で長期療養中の難病患者であった。調査の結果,同じ病名を患う患者間でもQOLに関連する領域には多様性があり、患者のQOLはADL(日常生活動作:Activities of Daily Living)と必ずしも一致するわけではないことがわかった。さらに,SEIQoL-DWで得られるQOLは,患者の日常生活や周囲の環境,患者を取り巻く人々を直接的に反映するものであり,病状の進行やライフイベント,周囲の環境の変化により患者のQOLは変容することが分かった。病気に対する不安が強い場合には,健康に関連する領域に関する言及が多くみられ,病気の不安がない場合には病棟生活や趣味に関する言及が多くなる。このように患者はSEIQoL-DWを実施するとき,自分の日常生活を省察し,日常的・社会的文脈からQOLを構成・再構成している.このことから,SEIQoL-DWの実施は,患者の意味世界を捉える方法として有用であり,患者のニーズに即した適切なケアを提供するひとつの指標となりえると考えられる。
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