2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04673
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今尾 武士 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アポトーシス |
Research Abstract |
Apaf-1は、caspase-9の活性化を介してcaspase-3を活性化する、アポトーシスのシグナル伝達分子であるが、発生期のアポトーシスにApaf-1が必須であるかについては、議論の余地が残されている。我々の研究室は、胎齢14.5日のApaf-1欠損マウスの胸腺においてcaspase-3の活性化が起きていることを、また、その時期の胸腺細胞をスタウロスポリン(STS)で処理するとcaspase-3活性化を誘導できることを見出した。これらの結果は、Apaf-1非依存的アポトーシス経路の存在を示唆する。そこで本研究は、Apaf-1非依存的にcaspase-3を活性化させる分子群を同定し、Apaf-1非依存的アポトーシス経路の分子機構を解明することを目的とする。 分子機構解明のため、胎齢14.5日のApaf-1欠損マウスの胸腺細胞から細胞株を樹立した。この細胞株をSTSで処理するとcaspase-3の活性化が観察された。以上は、22年度に実施した。 次に、樹立した細胞株をSTSで処理した後、その抽出液を回収し、組換えcaspase-3を加えたところ、組換えcaspase-3の切断が見られた。これは、caspase-3切断活性を有する分子が、STS処理した細胞抽出液中に存在することを意味する。そこで、STS処理した細胞からの抽出液を、陽イオン交換クロマトグラファーで分画し、各画分に組換えcaspase-3を添加後、caspase-3の切断を調べた。その結果、素通り画分に弱い切断活性が、100-200mM程度のNaClで溶出される画分に強い切断活性がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規分子同定に必要な細胞株の樹立と、それを用いたアッセイ系の確立を行った。これらを用いることで、研究目的である、Apaf-1非依存的アポトーシス経路の分子機構解明の達成が期待されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン交換クロマトグラファーで分画した画分を、別の手法(ゲル濾過法など)を用いてさらに分画し、切断活性を含む画分を決定する操作を繰り返すことで、最終的に、切断活性の責任分子を単離、精製することを計画している。そして、同定した分子が実際に細胞のアポトーシスに関与するのか、どのように調節されるのかを調べることで、Apaf-1非依存的アポトーシス経路の分子機構の解明を目指す。
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