2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J04673
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今尾 武士 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アポトーシス |
Research Abstract |
Apaf-1は、caspase-9の活性化を介してcaspase-3を活性化する分子であり、アポトーシスのシグナル伝達に必須とされる。しかし、当研究室は、Apaf-1欠損マウスの胎仔胸腺細胞をスタウロスポリン(STS)で処理するとcaspase-3活性化を誘導できることを見出した。これらの結果は、Apaf-1非依存性アポトーシス経路の存在を示唆する。そこで本研究は、Apaf-1非依存的アポトーシス経路の分子機構を解明することを目的とした。 まず、Apaf-1欠損マウスの胎仔胸腺細胞から細胞株を樹立し、STSで処理したところ、caspase-3の活性化が観察された。次に、STS処理後の細胞から抽出液を回収し、組換えcaspase-3を加えると、組換えcaspase-3の切断が見られた。これは、caspase-3切断活性を有する分子が抽出液中に存在することを意味する。また、この切断活性は、生化学的手法により分画可能であった。以上は22および23年度に実施した。 そこで、各画分の精製を進めたが、caspase-3切断活性を有するタンパク質は、caspase-3の下流で活性化された後、caspase-3を切断して反応を増幅する分子であることが示唆された。そこで、caspase-3の上流で働き、反応を開始させる分子を同定するため、この未知の経路をより詳細に解析した。まず、他のアポトーシス促進分子の関与を調べるため、それらの分子を欠損する変異マウス由来の細胞を用いて解析を行ったところ、シトクロムc、caspase-8と-9、およびBaxとBakは未知のアポトーシスの開始に関与しないことが示唆された。また、キナーゼ阻害剤であるSTSによるアポトーシスは、ホスファターゼ阻害剤であるオカダ酸により抑制されたことから、未知の経路はリン酸化により調節されていることが示唆された。さらに、このアポトーシス経路は、成熟個体の胸腺細胞や、骨髄細胞にも存在するが、胎仔線維芽細胞には存在せず、細胞特異性を持つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究費申請時の研究計画にあった、新規のアポトーシス促進性分子の同定を、計画期間内に達成することはできなかった。しかし、未知の経路の調節機構解析を進めることで、今後の同定に向けた研究につながる重要な知見を得ることができた。従って、計画は遅れてはいるものの、着実に前進しているといえる。
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Research Products
(1 results)