2010 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素化合物を触媒的に用いる不斉酸化的カップリング反応の開拓
Project/Area Number |
10J04684
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安井 猛 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超原子価ヨウ素 / 不斉合成 / スピロラクトン / 過酸化水素 / 酸化反応 / ジヒドロベンゾフラン / TBHP / カップリング反応 |
Research Abstract |
毒性をもつ重金属酸化剤や高価な遷移金属触媒に代わる環境調和型の酸化剤として最近超原子価ヨウ素化合物が注目されている。しかし、超原子価ヨウ素を触媒的に用いる酸化反応の例は限られている。そのため、超原子価ヨウ素触媒を用いた分子内及び分子間の様々な酸化的カップリング反応の確立は重要である。また、光学活性な超原子価ヨウ素化合物の設計、及びそれを触媒に用いる不斉酸化的カップリング反応の開発も強く望まれている。22年度の研究計画として、新規光学活性超原子価ヨウ素触媒の開発及び高エナンチオ選択的分子内環化反応への応用を挙げていたが、優れた研究成果が得られた。具体的には以下の3つである。1.新規光学活性超原子価ヨウ素を触媒に用いるナフトール類の脱芳香型酸化反応(北スピロラクトン化反応)において、最高99%eeの不斉収率(これまでの超原子価ヨウ素を用いる不斉反応の中で最高値)でスピロラクトンを得ることに成功した。この成果はこれからの超原子価ヨウ素を用いる不斉酸化反応の発展に大きく貢献する先駆的な研究成果である。2.キラルアンモニウムヨージドと過酸化水素(またはTBHP)を用いる触媒的オキシエーテル化反応において最高96%eeの不斉収率で2,3-ジヒドロベンゾフランを得ることに成功した。得られた2,3-ジヒドロベンゾフラン骨格は多くの医薬品合成中間体である。また、この反応は室温条件で反応が進行し、副生成物は水のみ(またはtert-ブタノールと水)であるため非常に環境低負荷型の酸化反応である。3.テトラブチルアンモニウムヨージドと過酸化水素(またはTBHP)を用いる触媒的オキシラクトン化反応及び、カルボニル化合物のα位とカルボン酸の分子間カップリング反応の開発に成功した。従来の反応条件よりも温和なため、ポリマー化しやすいアクリル酸も適用可能であり、アクリル樹脂合成の工業的な応用が期待できる。
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