2011 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞受容体トランスジェニックマウスを用いた尋常性天疱瘡自己抗体産生機構の解明
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10J04747
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西本 周平 慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サイトカイン / 皮膚炎 / 自己免疫 / Th17 / シグナル伝達 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
尋常性天疱瘡はDsg3に対する自己抗体産生によって生じる自己免疫疾患である。自己抗体産生にはB細胞のみならず、それらを指揮するCD4T細胞の関与が重要である。これまでに当グループではDsg3特異的なTCRを有するT細胞トランスジェニックマウスH1(以下H1)を作製した。このH1マウスはDsg3に対する自己反応性CD4T細胞を有するものの自己抗体産生を行わず、interface dermatitisというTh1型の皮膚炎を生じさせた。このことから、同一自己抗原を認識するCD4T細胞であってもサイトカインプロファイルの違いにより生じる皮膚炎が異なることが示唆された。サイトカインプロファイルを制御により皮膚炎の制御を試みた。まず、H1マウスにおいてTh1に偏ったサイトカインプロファイルをTh2に誘導するために、H1マウスとTh2に偏りやすいSOCS3Tgマウスと交配したが、SOCS3 Tg・H1マゥス自体では自己抗体産生には至らなかった。自己抗体産生には、T細胞のみならず、B細胞の免疫寛容の破綻が同時に必要であるためと考えられた。次にH1よりnaive CD4T細胞を採取し、in vitroにおいて各Th条件で培養/分化させてRag2KOマウスへと移入した。H1Th17細胞のRag2KOマウスへの移入により、表皮内への稠密な好中球浸潤を伴う皮膚炎を誘導した。HITh1細胞の移入では起こらなかったので、Th17関連サイトカインもしくはケモカイン受容体が皮膚炎発症に重要であることが考えられる。しかしH1Th17細胞の移入後、サイトカイン産生を細胞内染色法で調べたところIFNγIL-17両陽性の細胞が顕著に増えていた。現在IFNγあるいはIL-17欠損マウスにHITCR-Tgを導入することを進めており、どのサイトカインが重要かを明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H1-Th17の移入で好中球を主体とした皮膚炎症が誘導できる系が確立したこと、またこのときTh1/17型のIFNγ、IL-17両陽性細胞が出現することを明らかにした点が評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在IFNγ欠損マウスおよびIL-17欠損マウスとH1-TCR-トランスジェニックマウスを交配させており、マウスができ次第、IFNγとIL-17どちらが重要かを明らかにする。また皮膚への集積にケモカイン受容体の発現が重要と考えられるので皮膚での各種ケモカインの発現量およびTh17でのケモカイン受容体の発現パターンを調べる。
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