2011 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ・ファイバ分散ポリマーの強度・機能特性解明と知的設計・評価
Project/Area Number |
10J04780
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒沼 遊 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | メゾ材料力学 / 有限要素解析 / 材料試験 / 高分子系複合材料 / カーボンナノチューブ / 破壊・疲労 / 電気伝導 / 構造・機能デバイス |
Research Abstract |
本研究は,カーボンナノチューブ(CNT)・カーボンナノファイバ(CNF)分散ポリマー(バルク,フィルム)の強度・機能特性を理論・実験両面から解明するものである.また,上記理論的・実験的研究に基づき,CNT・CNFを利用した知的材料・構造システムの信頼性・耐久性向上を目指した設計・評価指針を提供することも目的の一つである.得られた成果を要約すると以下の通りである. 1.多層CNT分散ポリカーボネートコンポジットの室温・液体窒素温度(77K)における圧縮試験及び分子構造力学・連続体力学を併用したマルチスケール数値シミュレーションを行い,圧縮特性を解明・考察した.2.(1) 多層CNT分散ポリカーボネートコンポジットの導電率測定を行い,導電率のCNT体積含有率依存性を明らかにした.また,CNT分散ポリマーコンポジットのCNT間トンネル効果を考慮した電気伝導に関する理論モデルを提案・応用し,導電率を求めて,実験結果と比較・検討した。さらに,CNT分散ポリマーコンポジットの導電率に及ぼすCNTうねり・長さの影響について考察を加えた.(2) 引張を受ける多層CNT分散ポリカーボネートコンポジットの電気抵抗変化によるひずみ検知について検討を進めている.3.(1)多層CNT分散ポリカーボネートコンポジットの室温・77Kにおける疲労き裂進展試験及び弾塑性有限要素解析を行い,疲労き裂進展速度-J積分範囲の温度依存性を明らかにした.また,走査型電子顕微鏡(SEM)による試験片破面観察を行い,多層CNT分散ポリカーボネートコンポジットの疲労き裂進展メカニズムについて検討・考察を加えた.(2) 引張を受ける多層CNT分散ポリカーボネートコンポジットの負荷速度依存性き裂挙動と電気抵抗変化について検討を進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高性能な次世代構造・機能材料として注目を集めているカーボンナノチューブ(CNT)分散ポリマーコンポジットを取り上げ,圧縮・電気伝導特性や疲労き裂進展挙動に注目した理論的・実験的研究を行い,順調に成果を挙げている.また,引張を受けるCNT分散ポリマーコンポジットのひずみ検知及び負荷速度依存性き裂挙動に関する研究にも着手し,検討を加えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
引張を受ける多層CNT分散ポリカーボネートコンポジットの電気抵抗変化によるひずみ検知について考察する.また,引張を受ける多層CNT分散ポリカーボネートコンポジットの負荷速度依存性き裂挙動と電気抵抗変化を明らかにする.
|