2010 Fiscal Year Annual Research Report
培養神経系における情報処理機能の人為的制御と再生医療への応用
Project/Area Number |
10J04785
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高山 祐三 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 培養神経回路 / 細胞パターニング / 微細加工 |
Research Abstract |
本年度の研究では,ラット大脳皮質神経細胞を用いて微小流路内でのパターニング及び培養を行った.一方向に流れる細胞懸濁液内の神経細胞を特定個所にトラッピングし局在化するために,U字型のマイクロウェル構造を有した鋳型構造をシリコンウェハ上に作製し,シリコンゴムの1種であるPDMSに転写することで細胞トラップ構造を有したマイクロ流路チャンバーを作製した.この際,U字型マイクロウェル構造に培養基板表面から4~5umの隙間を設けることで,マイクロウェル構造において水圧が高まり,高い再現性で神経細胞をトラップすることが可能となった. 次に,トラップした神経細胞から伸展する軸索・樹状突起の方向制御を行うために,マイクロ流路内に化学物質を用いた細胞パターニングを組み合わせることを試みた.特定の凹凸パターンを備えたPDMS加工物表面に細胞の基板表面接着を促進するPEI(ポリエチレンイミン)溶液を浸し,培養基板上にPDMS加工物を接着することで凹凸パターンに沿ってPEIのパターニングを行った.更にPEIパターニング以外の領域をPluronic F-127を用いて細胞非接着コーティングを行うことで,神経突起の伸展方向制御を行った.以上の化学物質による細胞パターニングとマイクロ流路構造とを組み合わせることで,神経突起の成長方向制御を含めた培養神経回路網の形態制御を試みた.現状,マイクロウェル構造部にトラッピングした神経細胞から,PEIパターンに沿って神経突起を形態的に制御することが可能となった. 今後は,マイクロウェル間で複数の神経細胞間が機能的結合を行っているか,どのような細胞活動の相互作用があるかを電気活動計測,もしくは光学計測によって評価を行い,情報伝達の方向性を含めた培養神経回路の形態・機能制御を行う予定である.
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