2011 Fiscal Year Annual Research Report
LDT化学による新しい細胞内蛋白質間相互作用解析技術の開発
Project/Area Number |
10J04905
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田村 朋則 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | LDT chemistry / 蛋白質化学修飾 / 蛋白質間相互作用 / FKBP12 / 光クロスリンク |
Research Abstract |
細胞機能を理解する上で、細胞内で起こる蛋白質間相互作用を解析することのできる技術は必要不可欠である。私は蛋白質間相互作用検出のための新しい手法として、当研究室で開発した蛋白質化学修飾法であるLDT(Ligand-Directed Tosyl)化学の活用を試みた。 LDT化学では、蛋白質に導入したい機能性分子とリガンドをフェニルスルホン酸エステルを介して連結したラベル化剤を用いる。標的蛋白質がラベル化剤を認識すると蛋白質表面のアミノ酸からトシルエステルへのSN2反応が進行し、ラベル化と同時にリガンド部位が切り離される。そのため、蛋白質本来の機能を損なうこと無く、標的選択的かつ部位特異的に望みの機能性分子を蛋白質に導入することが可能である。この特長を活かし、LDT化学により細胞内在性蛋白質に光反応基を導入し、細胞内で起こる蛋白質間相互作用を光架橋捕捉することを試みた。 本手法を実証するために、モデル蛋白質としてFKBP12を選択した。FKBP12は免疫抑制剤であるrapamycinやFK506を介して、それぞれFRBまたはCalcineurin(Cn)と三者複合体を形成することが知られている。LDT試薬の構造最適化後、光反応基としてDiazirin(Daz)を有するLDTラベル化剤を合成した。まず試験管内にてDazを修飾したFKBP12に、rapamycinおよびF1Bを添加後、光照射を行いウェスタンブロットにより評価した所、FKBP12とFRBの光架橋産物が検出された。更にHeLa細胞内において、LDT化学によりFKBP12のみにDazを特異的に導入し、一過的に発現したFRBとの蛋白質間相互作用を光架橋検出することを検討した。その結果、細胞内で起こるFKBP12-FRB間相互作用を光架橋によって検出することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの成果をJ.Am.Chem.Soc.にArticleとして掲載することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は対象蛋白質をキナーゼやアダプター蛋白質に展開し細胞内の内在性蛋白質同士や、未知の蛋白質間相互作用を検出できる手法へと進展させて行く予定である。
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Research Products
(3 results)