2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J05012
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河野 暢明 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 複製終結点 / 対称性 / 環状バクテリアゲノム / GC skew |
Research Abstract |
環状ゲノムを持つバクテリアにはリーディング鎖とラギング鎖におけるグアニン(G)とシトシン(C)の偏りを,(C-G)/(C+G)で表現したGCskewがほとんどの種において対称的な傾向が認められるが、この対称性を維持しているシステムの解明はされていない.最も容易に観察できるゲノムの対称性は複製開始点と終結点の関係だが,現在用いられている複製開始・終結点はGCskewによって予測されたものであり,生体内の挙動を正確に表現しているとは言えない.近年,バクテリアの複製終結点として染色体分離を行うdif配列がその役割を担っていると考えられる様になった.そのためdif配列を基にした新たな予測手法を確立する事が,ゲノムの対称性を観察する上で急務であるといえる.以上の事から,本研究では複製終結点の高精度な予測のためのdif配列予測手法を確立し,ゲノムワイドに見られる対称性を維持するシステムの解明を目的とた.実験的に証明されている大腸菌や枯草菌のdif配列を用いて,再帰的隠れマルコフモデリングという手法を開発し,dif配列を網羅的に予測した,その結果641種・714染色体でのdif配列を予測する事に成功し,dif配列と塩基組成バイアスはほぼ同じ場所に位置している事が判明した,塩基組成の示す終結点とは,複製が行われるにつれて蓄積されてきた塩基バイアスの痕跡と言えるため,バクテリアの複製は恒常的にdif配列近傍で複製を終結してきており,環状ゲノムに維持されている塩基組成バイアスのゆらぎはその結果であるという事が示唆された.さらに我々はこの予測されたdif配列を公開するためのデータベース(http://www.g-language.org/data/repter)を構築し,予測手法や結果を含めた論文を発表した(Kono et al.2011)
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Research Products
(10 results)