2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J05012
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河野 暢明 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゲノム対称構造 / 複製終結点 / 環状バクテリアゲノム / シミュレーション / GC skew |
Research Abstract |
環状ゲノムを持つバクテリアには一対の複製開始・終結点が存在しており,両方向に進行した複製フォークが何かしらの機構によって進行が阻害されることで複製が終結する事が知られている.しかしながら,その複製終結モデルは現在いくつかのモデルが提唱されているに限り,どのモデルがより正しく生体内の挙動を説明しているのかは未だ解明されていない.そこで我々は環状ゲノムにおけるGCskewという塩基組成の偏り構造を再現する事で,どのモデルがより確からしいモデルかを検証した.GCskewとはリーディング鎖とラギング鎖におけるグアニン(G)とシトシン(C)の偏りを(C-G)/(C+G)で表現した指標である.この偏りはリーディング鎖とラギング鎖Q複製機構の違いから生成されている事が知られていることからも,リーディング/ラギング鎖の定義に関わる複製終結点の位置がそのGcskewの形状に重要な関わりを持っている事が考えられる.GCskew再現シミュレーションを行なう為にまずこれまで提唱されている複製終結モデルの構築を行なった.昨年我々が網羅的に予測した醗配列の位置(Kono et al.,2011)に加え,他に提唱されているfork-collision及びfork-trapという複製終結機構の数理モデルの構築を行なった.その結果,これまで先行研究からも強く支持されて来たfork-trapモデルがGC skewの再現に最も適しているという結果を得る事ができた,これにより,環状ゲノムを持つバクテリアの複製終結モデルをこれまでの実験のみならず,計算機的なアプローチから検証証明する事に成功した.以上の研究成果をまとめ,本研究を国際学術誌PLoS Oneに論文発表した(Kono et al.,2012).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き,本研究目的であるゲノム対称構造の解明に関わる研究成果を多数学会発表し,一報の論文を発表した.以上の成果から,博士号の学位を通常より1年早期で修了することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで計算機的なアプローチによって検証して来たバクテリアゲノムの複製機構の傾向を実験的に解析する.主に,ノックアウト株や逆位変異を与えた株に対して,次世代シーケンサーを用いて複製開始・終結点を観察する事で,ゲノム配列から観察される複製開始・終結点と生体内での実際の複製機構とを比較解析し,より精度の高い複製機構の解明を目指す.
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Research Products
(5 results)