2010 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒によるオキシインドールの多様性志向型合成法の開発
Project/Area Number |
10J05049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊島 武春 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オキシインドール類 / パラジウム触媒 / 環化反応 / シアノ化 / アルコキシル化 / スルファニル化 / [1,3]-転位反応 / タンデム型反応 |
Research Abstract |
オキシインドール類は多くの天然物や薬理活性物質に見られる重要な基本骨格であり、本研究ではオキシインドール類の簡便かつ多様性を指向した合成法開発を行うのが目的である。本年は先に提出した実施計画に沿い、まず3-アルキリデンオキシインドールの立体選択的合成法の開発を行った。具体的にはパラジウム触媒の存在下で2-アルキニルアリールイソシアナートに対してチオール、アルコールあるいはシアン化銅などの求核剤を作用させ、スルファニル基、アルコキシル基およびシアノ基を環外二重結合部位に有する3-アルキリデンオキシインドールの合成手法をそれぞれ見出し、学術論文に発表した。本手法では同一の基質から多様性に富む3-アルキリデンオキシインドールを簡便に合成することができ、またいずれも従来法では合成困難な化合物である。これらの利点から本研究を行う意義および重要性があったと考えられる。 次に3,3-二置換オキシインドールの合成法開発について研究を行った。実施計画にて示した通り、上述したパラジウム触媒による環化反応をベンジルアルコールを用いて行うと、環化反応の後にパラジウム触媒によるベンジル基の1,3-転位反応が生じて3,3-二置換オキシインドールが得られていた。本年はホスフィン配位子や反応溶媒などの条件検討を行い最適条件を決定し、その後基質の適用範囲について検討した。なお同様の現象はベンジルアルコールに替えてアリルアルコールを用いた際も生じることも見出し、ベンジルアルコールを用いた成果と併せて学術論文に発表した。本反応はパラジウム触媒によるベンジル基の転位反応として初めての例である点にまず学術的な意義深さを見出せる。更に本研究では同一のパラジウム触媒により環化反応と転位反応を連続的に生じさせるタンデム型の反応であり、この概念は省資源化の観点から近年特に注目されている。これらの点で本研究は重要である。
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