2011 Fiscal Year Annual Research Report
受粉におけるRNaseを介した自他識別機構のライブセル解析
Project/Area Number |
10J05057
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
角井 宏行 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自家不和合成 / S-RNase |
Research Abstract |
花粉S遺伝子の候補であったSFBBが花粉S遺伝子であるかどうかを明らかにする目的で、SFBBを1クローン欠失した変異ハプロタイプ「S^<4sm>」の花粉側の認識機能を解析した。解析結果の(1)SFBBが非自己のS-RNaseに対して抑制的に作用する、(2)複数のSFBBが自己/非自己の認識に関与する、という性質は同じバラ科のサクラ亜科で提唱されているモデルよりもナス科のペチュニアで提唱されたモデルに適合した。これらの結果をまとめ、PlantJournal誌に投稿したところ、「掲載の可能性あり」との返信があった。レフェリーの要追加解析事項として、個々のSFBB遺伝子が連鎖しているか確認すること、SFBBが花粉で特異的に発現しているのか解析すること、S4mの欠失領域に自家不和合性に関わりそうな遺伝子がないかどうか確認すること、との指摘があった。連鎖解析に関してはまず、各SFBBを個別に増幅するプライマーを作製し、特異的なSFBBを検出できる系を確立した。その結果、SFBB6-S4以外のSFBBはS-RNaseと連鎖していることが明らかになった。前述の連鎖解析で確立したSFBB検出法を用いてニホンナシの各器官から抽出したcDNAを鋳型にRT-PCRを行ったところS4smハプロタイプでは欠失領域に含まれるSFBB1-S4遺伝子の発現はなく、その他のSFBBは葯で発現していることがわかった。最後にS4sm欠失領域にSFBB1-S4以外の自家不和合性に関連しそうな因子があるかどうか解析を行った。S4sm欠失領域配列をFGENESH,Genemark,Genscanを用いてORFを検出したところ、自家不和合性に関連する既知の配列は存在しなかったため、S4smの誤認識の原因はSFBB1-S4の欠失によるものであると考えるのが妥当であると考えられた。これらの解析結果を追加し、再度投稿したところ、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述ように論文をまとめ受理された。また、ライブセル解析のための花粉側因子に蛍光タンパクを付加した融合タンパクの作製に現在成功している。S-RNaseとの相互作用をBiFC法やpull down assayなどを用いて解析している
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Strategy for Future Research Activity |
花粉側因子の融合タンパクは作製することができたが、その因子とS-RNaseとの相互作用をBiFC法やpull down assayで検定しているが今の所相互作用をするという結果は得られていない。解析条件をさらに精査し、相互作用するかどうかを明らかにするとともに、yeast two hybrid法を用いる等、他の方法も用いて相互作用解析を進めて行く。
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