2012 Fiscal Year Annual Research Report
受粉におけるRNaseを介した自他識別機構のライブセル解析
Project/Area Number |
10J05057
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
角井 宏行 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自家不和合性 / S-RNase / SLF / マイクロチップ |
Research Abstract |
ペチュニアの花粉管を観察する上での最大の障害は花粉管が伸長するめしべの組織が非常に厚く、自家蛍光が強いため観察が非常に困難であることである。花粉管は培地中でもある程度伸長するため、透明な培地の中での観察も有効であると考えられたが、培地には厚さがあるため花粉管が上下に伸長してしまい顕微鏡で観察する際に焦点がずれてしまうという問題があった。そこで東山ERATOナノ工学グループとの話し合いを行ったところ、マイクロチップを用いることでこの培地の厚さの問題を解決できると考えられた。マイクロチップは透明なシリコン樹脂(PDMS)を型に流し込むことで作製することができる。型は縦、横、高さをマイクロメートル単位で精密に設計できるため、高さを花粉管1本が通れる高さに設計することで花粉管の焦点を合わせたまま観察できるようになった。実際に花粉管がこのマイクロチップ内の通路を通過するかどうかを通路内にペチュニア用の培地で満たした状態で観察したところ、通路内を花粉管が伸長する様子が観察された。 本研究の目的はS-RNase型の自家不和合性を制御する花粉側の因子であるSLFとめしべ側因子であるS-RNaseの局在を明らかにすることである。SLFとTagRFPが融合したペチュニア形質転換体に続いて本年度ではS-RNaseとGFPが融合した形質転換体を得た。これらの形質転換体のコンストラクトが正常に機能すれば同じタイプの花粉を拒絶するはずであり、自己のタイプを解毒できるSLFをもつ花粉を受粉すると花粉が伸長するはずである。まず自己のタイプの花粉を人工授粉した。その結果、果実部分が肥大せずに枯れることが確認された。これは受精が失敗した時に特有の形態である。今後例数を増やしこの現象が本当に起きているかを確認する。
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