2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化テンプレートを用いたプラズモニック・メタマテリアルの作製とその機能創発
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10J05062
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉木 亮子 (渡邉 亮子) 独立行政法人理化学研究所, 田中メタマテリアル研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自己組織化 / ブロック共重合体 / メタマテリアル / 金属ナノ構造 / テンプレート / 二光子還元法 / フェムト秒レーザー |
Research Abstract |
本研究では、自己組織化材料を用いてメタマテリアルの素子となる金属ナノ構造体を量産性高く作製する方法を開発する。金属ナノ粒子が集積した構造体が可視光に応答するリング共振器として振る舞うと考え、金属を三次元的に析出させることが可能なフェムト秒レーザーを用いた二光子還元法と、百ナノメートル以下の周期構造を自己組織的に形成するブロック共重合体テンプレートを組み合わせ、金属ナノ粒子集積体を得ることを目指した。 疎水部をポリメチルメタクリレート、親水部をポリエチレンオキサイドとする両親媒性ブロック共重合体をスピンコートによってカバーガラス上に製膜した。次いで、熱処理によってブロック共重合体のミクロ相分離構造を誘起させた。その後、銀イオンを含む水溶液にブロック共重合体薄膜を浸漬し、ポリエチレンオキサイドに銀イオンを導入した。銀イオンが導入されたブロック共重合体薄膜に、集光したフェムト秒レーザーを用いて描画パターンを作製した。作製したパターンを原子間力顕微鏡で観察したところ、パターンは線幅300ナノメートル程度であることがわかった。また、パターン内において、数十ナノメートルの粒子が集積している様子が確認された。さらに、同じ試料の走査型電子顕微鏡観察を行い、原子番号依存性のある反射電子像を確認したところ、描画したパターン部のみが高輝度に示されていた。この結果より、描画したパターン部でのみフェムト秒レーザーによる二光子還元反応が生じ、銀イオンが還元されて銀ナノ粒子の析出が起こったと考えた。分子量の異なるブロック共重合体についても同様の実験を行い、形成される銀ナノ粒子のサイズ制御について検討した。以上のように、本年度は、自己組織化材料とフェムト秒レーザーを用いた銀ナノ粒子集積構造の作製法とナノ構造評価法について、新しい知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料作製に関しては、想定していた問題の範囲内で目的の構造体を見いだすことができたため。また、作製した試料のナノ構造や光学特性の詳細な評価に関しては、技術的な問題によって多少進捗が遅れている懸念はあるものの、再現性を確実に得るためには、慎重な実験が必要であるため、全体としての達成度はおおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
メタマテリアルは、形が光学特性を決めるため、金属がどのようなナノ構造を形成しているかを正確に評価することが、特性の評価や制御に直接反映されると考えている。今後は、作製した試料の透過型電子顕微鏡による観察とエネルギー分散型X線分析による元素分析によってナノ構造の同定を集中的に行う。そして、構造の同定ができたものに関して、透過スペクトル測定による光学特性の評価を行う。
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