2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化テンプレートを用いたプラズモニック・メタマテリアルの作製とその機能創発
Project/Area Number |
10J05062
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉木 亮子 (渡邉 亮子) 独立行政法人理化学研究所, 田中メタマテリアル研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | プラズモニクス / メタマテリアル / ブロック共重合体 / 二光子還元 / 自己組織化 / テンプレート / フェムト秒レーザー / 金属ナノ構造 |
Research Abstract |
本研究では、自己組織化テンプレートを用いてメタマテリアルの素子となる金属ナノ構造体を作製する方法を開発する。球状や棒状に集積した金属ナノ粒子は、可視光の磁場成分に応答するメタマテリアルの素子として振る舞うと考えられている。金属を三次元的に析出させることが可能なフェムト秒レーザーを用いた二光子還元法と、百ナノメートル以下の周期構造を自己組織的に形成するブロック共重合体テンプレートを組み合わせ、金属ナノ粒子の集積体を得ることを目指した。 本年度は、集光したフェムト秒レーザーによって還元された結果得られるブロック共重合体テンプレート中の銀ナノ粒子の分析を行った。まず、ポリメチルメタクリレートとポリエチレンオキサイドからなる両親媒性ブロック共重合体をスピンコートによってマイカ基板上に製膜した。次いで、熱処理によってブロック共重合体のミクロ相分離構造を誘起した。マイカ基板上のブロック共重合体薄膜を、水中に浸漬することによって剥離し、水面に展開した。この水面上のブロック共重合体薄膜を透過型電子顕微鏡観察用の金グリッドに転写し、硝酸銀水溶液で処理することによって銀イオンをポリエチレンオキサイドに導入した。銀イオンを導入したブロック共重合体薄膜に集光したフェムト秒レーザーを照射し、銀ナノ粒子を析出させた。得られた試料の透過型電子顕微鏡観察によって、析出した銀ナノ粒子は直径約10nm程度であり、レーザーが照射された部位のエッジ付近に多く存在していることがわかった。また、これらのナノ粒子が銀であることをエネルギー分散型X線分析によって同定した。 以上のように、本年度は、二光子還元法によって生成されたブロック共重合体テンプレート中の銀ナノ粒子のナノ構造を確認することがきた。この成果は、本研究におけるメタマテリアルの素子の形と光学特性の関係を調べるための重要な分析プロセスの確立といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
透過型電子顕微鏡観察のための試料作製では、これまで用いていたガラス基板上の作製方法を用いることができなかった。このため、観察試料の作製方法を再検討する必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、透過型電子顕微鏡を用いた銀ナノ粒子のナノ構造の観察と分析の手法を確立することができたので、今後は、ブロック共重合体のミクロ相分離構造の大きさや種類を変えて銀ナノ粒子集合体を作製し、ナノ構造の変化に対する光学特性の変化を透過スペクトルの評価を通して調査する。また、透過スペクトル測定のための試料の大面積化を行う。
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