2010 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカの野生動物における環境汚染物質の毒性影響評価
Project/Area Number |
10J05177
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中山 翔太 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | アフリカ / 野生動物 / 重金属 / 有機塩素系汚染物質 / 環境汚染 / バイオマーカー / Cytochrome P450 / Metallothionein |
Research Abstract |
本研究は、近年の開発著しいアフリカにおける環境汚染物質がカバ、リーチェなどの野生動物に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。[1]ザンビアのサウスルアングア国立公園のカバの肝臓、餌資源である植物、および土壌・河川底質における重金属および有機塩素系物質の蓄積濃度を測定した。カバの肝臓におけるカドミウムおよび水銀濃度は環境サンプルや植物よりも有意に高く、これら毒性金属がカバにおいても生物濃縮している可能性を示した。[2]ザンビアのロッキンバーおよびブルーラグーン国立公園に生息する野生の反芻動物であるリーチェにおける肝臓、腎臓中の金属およびDDT類の蓄積濃度を測定した。さらに汚染物質曝露のバイオマーカーであるCYPIA1、CYP3Aの一部断片およびMetallothionein (MT)の全長のクローニングを行った。リーチェの一部個体では肝臓におけるCYP、MTのmRNA発現量の上昇がみられ、野生のリーチェにおけるこれらの遺伝子のバイオマーカーとしての有用性が示唆された。[3]ザンビアのカブウェ鉱床における土壌の鉛、亜鉛の汚染に加えて銅、カドミウム、ヒ素などの有害金属汚染を初めて明らかにした。鉱床付近の野生ラットでは臓器中に高濃度の鉛やカドミウムの蓄積が見られた。さらに、腎臓におけるMTのmRNA発現量が対照地域の個体と比べて有意に上昇していた。特に鉛曝露については野生ラットで体重増加の抑制などin vivoレベルで毒性学的影響が現れている可能性が示唆された。生活圏の近いヒトや他の動物への影響が懸念された。[4]ガーナの水銀鉱床地域における環境サンプル(水、土壌、河川底質)および魚類、羊、山羊の臓器中の金属濃度を測定した。鉱床を中心として高濃度のヒ素汚染が進行していることが明らかになった。
|