2010 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓腫瘤診断における造影超音波検査の応用に関する研究-診断から分化度の評価へ-
Project/Area Number |
10J05227
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 健介 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 造影超音波検査 / 肝細胞癌 / Kupffer細胞 |
Research Abstract |
本年度に北海道大学附属動物病院を受診し、ソナゾイド造影超音波検査を実施することが出来た肝臓腫瘤を持つ症例は27症例であった。その中でも病理組織学的検査により肝細胞癌であると診断された症例は10症例であり、これまで蓄積された症例と合わせると、肝細胞癌の症例は計31症例となった。これは、犬の造影超音波検査に関する研究分野の症例数としては十分な数であり、これにより信頼性の高い統計学的処理を行うことができるものと考えられる。これらの症例におけるソナゾイド造影超音波検査の動画ファイルから、過去に実施した健常犬を用いた実験により設定した動脈相、門脈相、実質相の各時相(Nakamura et al. Vet Radiol Ultrasound 2010)の静止画像ファイルを作成し、画像解析ソフトimage Jを用いて腫瘤のエコー輝度を定量的に解析した。その結果、同じ肝細胞癌でも造影増強の程度に大きなばらつきがあることが明らかとなった。その中でも、肝細胞癌の分化度との関連性が示唆されている実質相においては、全く造影増強されない症例が多くを占めていたものの、周囲と同程度にまで造影増強される症例も少数認められた。この実質相における造影増強の程度は腫瘤内のKupffer細胞の数と相関することが予想されてはいるが、現在まで明らかとはされていない。これを実証するべく、現在肝細胞癌症例のパラフィン包埋切片を使用して酵素抗体法によるKupffer細胞の免疫組織化学染色を実施し、腫瘤内のKupffer細胞数を定量化する方法について検討している。
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Research Products
(9 results)