2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規Th17分化制御因子の探索・同定およびその機能解明
Project/Area Number |
10J05327
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
市山 健司 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | TGFβ / Smad / Th17 / IL-6 / JNK / T細胞 / プロモーター / RORγt |
Research Abstract |
近年、免疫応答において正の応答を担う新たなエフェクターT細胞としてIL-17Aを高産生するTh17が同定され、自己免疫疾患や細菌感染等に重要な役割を担っていることが報告された。Naive T細胞からTh17への分化誘導にはTGF-βおよびIL-6の刺激が必要であり、その刺激によりTh17のマスター遺伝子であるRORγtの発現が誘導されることも明らかとなっている。最近、TGF-βの主要下流転写因子であるSmadを欠損したマウスの解析からTh17の分化誘導にはSmad非依存的な経路が重要な役割を担っていることを我々は報告した。しかしながら、その詳細なメカニズムは未だ明らかとなっておらず、Smad非依存的なTh17分化誘導機構の解明とその個体における意義の解明はこの分野における1つの焦点となっている。まず、Smad非依存的に制御される因子を同定するため、我々はT細胞特異的にSmad2およびSmad3を欠損したダブルノックアウトマウスの作製を行った。次に、網羅的に目的因子を探索するため、Smad2/3ダブルノックアウトマウス由来のT細胞を用いてマイクロアレイ解析を行い、転写因子に対象を絞って結果を分析したところ、Eomesodermin (Eomes)と呼ばれる転写因子がSmad非依存的にTGF-βによって負に制御される事を明らかにした。阻害剤の検索の結果JNK経路がEomesの発現抑制に必須であった。Eomesを発現するレトロウイルスベクターを構築し、primary T細胞への過剰発現の検討を行った結果、EomesはTh17分化(IL-17A、RORgammatの発現)を顕著に抑制することが明らかとなった。TGF-βはJNK/c-Junを介した経路でEomesの発現を抑制することで間接的にTh17分化を正に制御していることが明らかとなった。
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