2012 Fiscal Year Annual Research Report
疾病関連タンパクを標的選択的に分解する光感受性分子の創製と応用
Project/Area Number |
10J05423
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
谷本 周穂 慶應義塾大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | タンパク / 糖鎖 / ベロ毒素 / 光分解 / ポルフィリン / グロボトリオース / 光線力学療法 |
Research Abstract |
申請者は、腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素を選択的に光分解し、その毒性を中和する光感受性生体機能分子の化学合成及び活性評価を行った。すなわち、ベロ毒素が認識するリガンドであるグロボトリオース(Gb3)糖鎖とタンパクを光分解する性質を有するポルフィリン誘導体を、リンカーを介して結合したポルフィリン-Gb3ハイブリッドを合成し、そのタンパク光分解活性及びベロ毒素に対する中和活性を評価した。まず、1つのポルフィリン骨格に対して1つのGb3を有する1,2つのGb3をcis配置で有する2,2つのGb3をtrans配置で有する3,3つのGb3を有する4,及び4つのGb3を有する5の合計5種類のハイブリッドをそれぞれ合成した。次に、合成した1のベロ毒素に対する光分解活性を、SDS-PAGE法及びMALDI-TOF MSを用いて評価した。その結果、1がウシ血清アルブミンや鶏卵リゾチウムといった他のタンパクを光分解せず、ベロ毒素を選択的に光分解することを見出した。さらに、ウェスタンブロット法により1-5のベロ毒素光分解活性について詳細な解析を行った結果、1-5のベロ毒素に対する光分解活性の序列は、活性の高い順に2>1≒5>3≒4であることを見出した。さらに、ベロ細胞を用いて1-5のベロ毒素に対する中和活性を評価した。その結果、1-5は光非照射条件においてもベロ毒素の毒性を中和することを明らかにした。 さらに、1-5をベロ毒素に作用させた上で光照射を行ない、ベロ毒素を光分解することで、1-5の中和活性が光非照射時よりも6倍~30倍向上することを見出した。また、その序列は中和活性の高い順に2>1≒5>3≒4であった。すなわち、光照射条件において1-5のベロ毒素中和活性とベロ毒素光分解活性の間には相関性が有ることを見出し、タンパク機能の制御に対する光分解というコンセプトの有効性を実証した。
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Research Products
(5 results)