2010 Fiscal Year Annual Research Report
閾値型反応ネットワークにおけるロバストなシグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
10J05435
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 雅世 大阪大学, サイバーメディアセンター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 適応応答 / 大自由度反応系 / 反応ネットワークモデル |
Research Abstract |
生物システムにおいては非常に多くの反応が存在しているが、それぞれが独立して働くのではなく系全体が1つのシステムとして機能している。そのため、部品を持ち寄り組み立てるだけではなく、全体の中でうまく機能する様に部分同士の整合性を図る仕組みがあると考えられる。そのような「部分同士の整合性」が進化をとおして獲得される過程について、数値実験により考察をおこなった。 適応応答は生体内反応の様々な場面でみられ、外界の変化に対し、短時間スケールでの応答と長時間スケールでの緩和という2つの応答を示す反応である。適応応答は理論的には数個の変数を用いた少数自由度系で記述することが可能である。しかし、実際の生体内反応を考えると、そこでは多数の遺伝子やタンパク質が相互作用をしながら機能しており、それらの相互作用や干渉の影響を考慮することが必要だと考えられる。そこで、多数の自由度が相互作用する大自由度反応ネットワークモデルを考え、その上で適応応答が実現されるための条件について考察をおこなった。 外界変化に対し適応応答を示すようにネットワーク構造(個々の反応同士の相互作用関係)を進化させたところ、進化に伴い反応同士の間に整合性が生まれ、協同的に振る舞う系へと変化する様子が観察された。また、協同的に振る舞う系のネットワーク構造を解析したところ、従来おもに研究されてきた少数自由度系とは異なる特徴をもつことが見出された。
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