2010 Fiscal Year Annual Research Report
主鎖骨格改変型人工核酸の大量合成法を基盤とした組織化核酸二重鎖の設計
Project/Area Number |
10J05521
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 直美 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トリアゾール連結核酸 / クリック化学 / チミン塩基対 / 水銀架橋 / 二重らせん / 時間分解マイクロ波伝導度測定 / 電子移動度 / DNAオリゴマーの組織化 |
Research Abstract |
本研究は,申請者らが最近開発した新規DNA類縁体である^<TL>DNA(トリアゾール連結核酸)の機能探索を目標に構造構築法の深化さらに機能性発現のための組織化法の開発を行う.申請者らはこれまでに,デオキシリボヌクレオシド型類縁体を伸長単位として,クリック化学として知られている高効率・高選択的な銅触媒を用いたHuisgen付加環化反応を伸長反応に利用可能であることを見いだしている.本年度は,大量合成可能な^<TL>DNAオリゴマーの組織化二重らせん構造構築法の開発とその機能探索を行った. 天然DNAによる二重らせんは一般に熱的安定性が高くないことが知られている.リン酸ジエステルを化学的に安定なトリアゾールに代えた^<TL>DNAは化学的・熱的安定性の高い二重らせんを形成すると期待できる.今回,安定な二重らせんの構築を目指し,水銀によりチミン塩基を架橋した水銀架橋塩基対に着目した.さまざまな条件検討の結果,^<TL>DNA3量体に対し触媒量の水酸化カリウム存在下,過塩素酸水銀を2当量加えることで,望みの^<TL>DNA二重らせんが得られた.水銀架橋塩基対は互いに重なることで,水銀の空軌道が広がり電子移動に適した電子状態をもつことが理論的に示唆されている.時間分解マイクロ波伝導度測定(TRMC)を行うことで,この水銀架橋二重らせん中,電子が移動し,その移動度は1.3×10^<-2>cm^2/Vsであることを見出した.これは,天然塩基対からなる二重らせん中のホール移動に比べおおよそ3倍速い移動度であり,中央の金属架橋部が電子移動を促進することを示す結果である.今後,機能探索を念頭に置き,^<TL>DNAの構造そのものの多様化,および,様々な塩基,金属配列を導入した人工核酸の設計・合成を検討することで特異な機能性をもつ組織化構造を形成できるものと期待している.
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Research Products
(3 results)