2011 Fiscal Year Annual Research Report
主鎖骨格改変型人工核酸の大量合成法を基盤とした組織化核酸二重鎖の設計
Project/Area Number |
10J05521
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山崎 直美 東北大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | トリアゾール連結型DNA / 人工核酸 / クリック化学 / 逆転写反応 / 二重らせん / 遺伝子解析 / グリコシル化 / トリアゾール連結型RNA |
Research Abstract |
本研究では,申請者らが開発した新規DNA類縁体である^<TL>DNA(トリアゾール連結核酸)の機能探索を目標に構造の多様化と機能性発現のための組織化法の開発を行う.前年度までに,^<TL>DNAチミン三量体に金属イオンを介することで二重らせん構造を構築し,これが高い電子輸送能をもつことを見出している.本年度は,生命科学分野での^<TL>DNAの組織化構造の形成,^<TL>DNAの効率的な伸長法の開発,機能探索を指向した構造多様化を行った. ^<TL>DNA二重らせんの組織化構造の形成として,^<TL>DNAがタンパクの基質となることを明らかとした.^<TL>DNAは全RNA中のmRNAと二重らせん構造を形成し,これが逆転写酵素により認識されることで逆転写生成物であるcDNAを高い効率で得た.さらに,酵素耐性の高い^<TL>DNAを開始鎖として得られたcDNAは逆転写反応で不可避であるmRNA以外の核酸が開始鎖となり逆転写反応が進行した配列をエキソヌクレアーゼにより除去できることを見出した. ^<TL>DNAの構造多様化に先立ち,^<TL>DNAオリゴマーの効率的な伸長法を開発した.これまでの^<TL>DNA伸長法は,アセチレン保護基が伸長段階でも一部脱離していることが問題であった.そこで,より安定性の高い保護基に変更し,この保護基の脱保護条件に耐え得るアジピン酸リンカーへ変更した.この伸長法を用いると,一段階当たりの伸長効率が約30%向上することを明らかにした. 機能性探索を指向した構造多様化のため,^<TL>DNAの2'位にヒドロキシ基をもつ^<TL>RNAを開発した.安価なD-キシロースを出発原料として共通中間体であるジアセテートからグリコシル化反応により4種の核酸塩基を簡便に大量合成することができた.これより,チミン以外の塩基配列をもつトリアゾール連結型核酸の設計が可能となり,特異な機能性をもつ組織化構造の形成につながるものと期待している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は共同研究者とともに,^<TL>DNAが天然RNAと二重らせん構造を形成し,タンパク質により認識されることを見出した.さらに,^<TL>DNAチミンオリゴマーの効率的な伸長法を開発し,三年目に検討予定であった機能発現を念頭に置いたトリアゾール型核酸の構造多様化として,共同研究者とともにRNA類縁体を開発した.これらの結果より,当初の計画以上に研究の進展があったと言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度では,特異な機能性をもつ組織化構造の形成を目的として構造多様化したリボヌクレオシド型トリアゾール連結型核酸(^<TL>RNA)の伸長方法の開発を行う.これまで,ポリチミンオリゴマー構造のみを利用してきたが,^<TL>RNA単量体の合成において4種の核酸塩基を簡便に導入できたため,機能性を指向した塩基配列を設計する.伸長過程では鎖長が長くなるにつれ,オリゴマーの溶解性や検出方法などを工夫する必要があると予想されるため,適宜適切な方法を確立していく.
|
Research Products
(6 results)