2010 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモンが関与する光化学反応と新規ハイブリッドナノ構造体創成に関する研究
Project/Area Number |
10J05530
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 喬大 東北大学, 多元物質科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 表面プラズモン / 電場増強効果 / 金属ナノ構造体 / 光重合反応 |
Research Abstract |
当該年度は、表面プラズモンの電場増強効果を利用した光重合反応の詳細を検討した。市販されているサイズの揃ったシリカ微粒子を基板上に自己集積化させ、その上面に金薄膜を真空蒸着により成膜することにより、効率的に増強電場を発生させる基板となることを見出した。シリカ微粒子の曲率によって、成膜された金薄膜中には、比較的フラットな表面を持つ部位と、凹凸が多くラフネスの大きい表面を持つ部位が共存することになる。この金薄膜上で光重合反応を検討した結果、表面のラフネスが大きい部位で効率的に光重合反応が進行することを観測した。この結果は、表面増強ラマン散乱においても一般的に知られている傾向と一致する。すなわち、表面プラズモンが励起され、局所的な電場増強効果によって光重合反応を局所的に強めることができることを示すことに成功した。以上の成果はJ.Phys.Chem.Cに公表している。 また、光重合反応の対象として、ジアセチレンという結晶固相重合性のモノマーを用いての検討も行った。ジアセチレンは結晶状態の場合のみ重合反応が進行する。そのため、ラフネスの大きい金属表面では結晶性を保ちにくいという難点があったが、当研究室ですでに確立されている再沈法を用い、金属ナノ粒子とジアセチレンナノ結晶のコンポジット型複合体を作製することに成功した。このコンポジットにおいて励起波長532nmを用いたラマン分光法により測定を行ったところ、ラマン散乱が観測されると同時に重合反応が進行した。金属ナノ粒子がない場合と比較したところ、金属ナノ粒子がある場合では重合反応が極めて速く進行することがわかった。現在この反応が二光子過程によるものであるか、詳細に検討している段階である
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