2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクノロジーを用いた次世代経鼻ワクチン開発と、それによる免疫誘導機序の解明
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10J05592
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
孔 壹奎 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 経鼻ワクチン / 粘膜免疫 / ナノジェル / 肺炎球菌 |
Research Abstract |
1.ナノジェルによるPspA経鼻ワクチンのマウスモデルにおける有効性と安全性の確認 呼吸器系における病原体に対し、ナノジェルがワクチン担体となり得ることを示すため、本研究ではナノジェルを用いた肺炎球菌経鼻ワクチンシステムを構築した。ナノジェルにより誘導される抗原特異的なPspA経鼻ワクチンは非常に高い防御機能を有し、ナノジェル-PspAによるワクチン投与を受けた群では気管支粘膜表面の肺炎球菌数は減少し、また肺の柔組織においては肺炎球菌感染を完全に防ぐことができた。また、ワクチン投与により鼻腔における肺炎球菌生着数も減少している。加えて、ナノジェル経鼻ワクチンによって中枢神経系に抗原が蓄積するという現象は全く見られていない。これらの結果は、呼吸器系の病原体に対してナノジェルによる経鼻ワクチンシステムが、アジュバントを必要としない粘膜ワクチン担体として、普遍的に有効かつ安全であることを示すものである。 2.鼻腔のリンパ球遊走におけるケモカイン受容体の役割の解明 鼻腔粘膜中のIgA産生細胞のケモカイン受容体発現を確認するため、細胞をFACSによって精製し、ライトサイクラーを用いて特異的プローブによる定量的PCR法で解析した。またこれに加えて、現在は細胞の遊走に関係する分子に関して、FACSと免疫組織染色法を用いて検証している。鼻腔のIgA産生細胞が、CXCR2、CCR3、CCR10といったいくつかのケモカイン受容体を発現していることがFACSにより確かめられた。そこで、これらの分子を欠損するマウスを入手し、これらのケモカイン受容体の機能面での役割を現在解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ケモカイン受容体の機能を評価するため、現在種々のノックアウトマウスの掛け合わせを行っているところであるが、これに想定より長い時間がかかっているため。また、ダブルノックアウトマウスを作製せねばならない場合もあり、そのようなケースにおいては結果を得るまでにさらに長い時間を要すると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ノックアウトマウスを用い、候補となったケモカイン受容体の機能的役割をin vivoで検討する。また、ケモカイン受容体の候補を阻害して細胞遊走能を見るため、in vitroのトランズウェルアッセイを現在構築中である。
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