2010 Fiscal Year Annual Research Report
NMRを用いた異常プリオンの構造解析とその多様性の評価
Project/Area Number |
10J05602
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山口 圭一 岐阜大学, 人獣感染防御研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | プリオン / アミロイド線維 / 超音波パワー / 伝播 / アモルファス凝集体 |
Research Abstract |
NMRを用いた異常プリオンの構造解析を行なうため、本年度は主にマウス由来のプリオン蛋白質(MoPrP)を用いてアミロイド線維形成実験を行った。 近年、試験管内で超音波を用いた異常プリオン(PrP^<Sc>)の増幅実験がしばしば行われている。しかし、PrP^<Sc>の増幅に必要な超音波パワーについては分かっていない。本研究ではカロリメトリー法とKI酸化法を用いて、PrP^<Sc>の一つであるアミロイド線維の形成に必要な超音波パワーについて調べた。その結果、アミロイド線維の核形成は超音波パワーに比例して早くなることが分かった。超音波パワー2.0W以上では15時間以内に線維は形成されたが、1.0~2.0Wまた1.0W以下ではアミロイド線維はそれぞれ5~65時間、40~80時間で形成された。しかし、超音波パワーが2.6W以上では線維は細かく断片化された。このように、アミロイド線維形成には凝集体形成と断片化のバランスが重要であり、超音波パワー2.0W程度が適していると考えられる。 また、MoPrPは超音波パワーが弱いとアミロイド線維と同時にアモルファス凝集体を形成した。そこで、この2つの凝集体を用いて、超音波照射下でシーディングによる伝播実験を行った。その結果、シーディング1回目では2種類の凝集体の性質は効率よく伝播された。しかし、シーディングを繰り返すと伝播の効率が徐々に悪くなった。これは超音波パワーが伝播には十分ではない、つまり超音波による凝集体の断片化効率が悪いため、シード量が不足したためだと考えられる。今後、凝集体の伝播や線維の断片化に必要な超音波パワーを明らかにする予定である。
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