2010 Fiscal Year Annual Research Report
核酸ナノ構造を特異的に認識する新規オリゴ糖のデザインと合成
Project/Area Number |
10J05612
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 倫太朗 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | オリゴジアミノ糖 / RNA干渉 / ドラッグデリバリーシステム / 二重鎖核酸 |
Research Abstract |
本研究において合成した「2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-グルコピラノースのオリゴマー(以下オリゴジアミノ糖と略)」と、RNA二重鎖の相互作用について、より詳細な解析を行った。ITC(等温滴定カロリメトリー)では、12量体RNA二重鎖に対するオリゴジアミノ糖4量体の結合比がN=0.7であるという結果を得た。さらに、DNA二重鎖を用いた同様の実験結果との比較より、オリゴジアミノ糖が、DNA二重鎖よりも、RNA二重鎖に対し強い結合親和性を有することが強く示唆された。すでに、CDスペクトル、T_m解析などによって、間接的にRNA二重鎖とオリゴジアミノ糖の相互作用は観測していたが、直接的に結合していることを初めて得ることができた。 以上のように、RNA二重鎖に対する特異的な結合能が様々な手法により明らかとなり、これらの結果を、国際会議で発表した(口頭発表1件、ポスター発表2件)。 この特徴的な結果をRNAi医薬のドラッグデリバリーシステムに応用するため、現在、オリゴジアミノ糖基本構造とし、これにビタミンE、及びビタミンEアナログに結合させた新規分子の合成を試みている。このような分子は、RNAと複合体を形成し、ビタミンE残基が認識されることで脂質代謝系に取り込まれ、肝臓に輸送されることが期待できる。合成目標としては、構造の異なる10種類程度の化合物を合成する予定であり、現在、これらのうち1種類の合成を完了している。また、これらの合成に先駆けてオリゴジアミノ糖の4量体を添加した系におけるRNAi活性の評価を行った。オリゴジアミノ糖がRNA二重鎖に結合することで、RNA干渉の過程を阻害し、RNAi活性が低下することが懸念されたが、そのような活性の低下はほとんど観測されなかった。この結果により、オリゴジアミノ糖がRNAi医薬のキャリア分子として利用できる可能性が示された。
|