2010 Fiscal Year Annual Research Report
超低損失電力素子実現に向けた炭化珪素における点欠陥の物性解明と制御法の確立
Project/Area Number |
10J05621
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川原 洸太朗 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 省エネルギー / 炭化珪素(SiC) / 次世代パワーデバイス / 点欠陥 / 深い準位の制御 / イオン注入 / 反応性イオンエッチング / 熱酸化 |
Research Abstract |
省エネルギーに関心が集まる現在、SiC(炭化珪素)は優れた物性値を有するため次世代パワーデバイス材料として注目されているが、SiC結晶中の点欠陥(に起因する深い準位)に関する研究報告は限られている。深い準位はキャリアトラップおよび再結合中心として働き、それぞれ導電率の減少およびキャリア寿命の減少を引き起こす。よって、高性能・低消費電力SiCデバイス実現に向け、SiC中に存在する深い準位を明らかとし、深い準位を制御することが本研究の目的である。 以上の目的の下、当該年度は予定通り、デバイスプロセスにより生成される深い準位を解析した。主に、デバイス作製の際に必須であるイオン注入およびRIE(反応性イオンエッチング)について調べた。その結果、両プロセスともに様々な深い準位を生成することが明らかとなった。これらの深い準位の中には非常に高密度なもの(>1×10^<17>cm^<-3>)や生成深さが2μm以上に達しているものも存在し、デバイス性能に大きな影響を与える可能性が示された。特にRIE後の試料ではショットキー容量が極端に小さくなることが判明し、RIEによってSiCを加工する際は注意が必要であることが分かった。以上は、SiCデバイス作製の際に重要となる知見であり、意義深い成果である。 本研究ではさらに、上記デバイスプロセスによって生成された深い準位に対して熱酸化が有効であることを明らかとした。また、熱酸化に加え、Ar雰囲気下で高温(>1300℃)アニールを行うことで、ほぼ全ての深い準位を低減できることを示した。以上は、SiC中の深い準位制御を実現する大きな足がかりとなる結果であり、高性能・低消費電力SiCデバイス実現に一歩近づける成果と言える。
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Research Products
(4 results)