2011 Fiscal Year Annual Research Report
クレンブテロールによるβ2-アドレナリン受容体mRNA発現への影響
Project/Area Number |
10J05644
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 章悟 早稲田大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 骨格筋の可塑性 / β_2-アドレナリン受容体 / 不活動 / クレンブテロール / 運動 / p38 mitogen-activated protein kinase / Akt / 骨格筋 |
Research Abstract |
骨格筋の可塑性とβ_2-アドレナリン受容体(β_2-AR)発現およびその下流のシグナル伝達応答との関連を明確にするため、本年度は主に2つの研究を実施し、以下のような知見を得た。 1)ギプス固定によるラット骨格筋のβ_2-AR発現応答 ラットの両側下肢の足関節および膝関節をギプスによって固定し、不活動状態で10日間飼育したときの、骨格筋におけるβ_2-AR発現応答をしらべた。その結果、ギプス固定により収縮速度の遅い筋(ヒラメ筋)の筋重量が対照に比べ顕著に低下し、β_2-AR mRNA発現量も著しく低下した。また、β_2-ARの転写調節を担うグルココルチコイド受容体の遺伝子・タンパク質発現量もギプス固定によりヒラメ筋で特異的に低下した。(Sato S et al. 2011. Life Sci 89:962-967) 2)クレンブテロール(CL)および運動によるマウス骨格筋のβ_2-AR発現応答 マウスにβ_2-作動薬であるCLを単回投与したとき、あるいはトレッドミルにより急性運動を負荷したときの、骨格筋におけるβ_2-AR発現およびその下流のシグナル伝達応答をしらべた。その結果、CLおよび運動によるβ_2-ARの遺伝子・タンパク質発現量への影響は収縮速度の速い筋(前脛骨筋)およびヒラメ筋ともにみられなかった。一方、CLおよび運動によってβ_2-ARの下流のシグナル伝達物質であるp38 mitogen-activated protein kinaseのリン酸化がヒラメ筋特異的に亢進した。また、同じくβ_2-ARの下流のシグナル伝達物質であるAktのリン酸化もCLによってヒラメ筋特異的に亢進したが、運動による影響はみられなかった。(Sato S,et al. 2012. Life Sciin submission) 以上より、β_2-ARおよびその下流のシグナル伝達は骨格筋の可塑的な量的・質的調節に一部で関与していることが示唆された。また、本年度は、2年間の総括として本学術分野におけるレビューを2編執筆した(Sato S,et al.2011.J Biomed Biotech 729598 ; Sato S.et al. 2012.J Phys Fitness Snorts Med inpress)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年間における本研究課題に関する原著論文は計5編(全て筆頭著者・査読あり、1編は新たに現在投稿・審査中)、学会発表は計5件(全て筆頭著者・発表者、国外1件、国内4件(うち1件は招待講演))あることから、当初の計画以上に進展していることが十分に伺える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題における研究内容は現象論が中心であるため、今後は細胞培養系を用いた分子生物学的研究あるいはノックアウトマウス等を用いた研究を展開し、β_2-アドレナリン受容体が骨格筋の各種の適応に対し、どのような生理学的役割を担っているかを解明する必要があると考えられる。
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Research Products
(7 results)