2010 Fiscal Year Annual Research Report
海洋島における適応放散的種分化の機構を保全する-集団内遺伝構造仮説の検討-
Project/Area Number |
10J05727
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
須貝 杏子 首都大学東京, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小笠原諸島 / 海洋島 / 遺伝構造 / 適応放散 / 種分化 |
Research Abstract |
海洋島の木本植物は,大陸の木本植物とは異なった遺伝構造をもち,遺伝的に分化していく仕組みをもっていることが予想される.なぜなら,限られた移入によって成り立っており,さらに異なる生育環境への適応なども関係して,狭い範囲内で遺伝子流動が強く制限されていると考えられるからである.このため,遺伝的なパッチ構造が空間的に形成されて,明瞭な集団内遺伝構造が生じているのではないかと予測した.そこで,本研究では,複数分類群の小笠原諸島の固有種と日本本土の近縁種について,SSRマーカーを用いて各集団の遺伝的多様性と空間的な遺伝構造を明らかにし,それを小笠原諸島と日本本土で比較することを目的としている.本年度は,まず小笠原諸島でボルトノキ属の採集に加え,比較対象とする本土からは千葉県清澄山,静岡県小笠山・南伊豆,和歌山県和歌山市の4地点において,ムラサキシキブ属・ヒササキ属・トベラ属・ホルトノキ属を採集した.遺伝解析は,各分類群についてマーカー開発を進め,ハイノキ属・ヒサカキ属・ホルトノキ属において多数のプライマーを設計することができ,順次それらのスクリーニングを進めている.さらに,開発したマーカ」の中で有効性が確認されたハイノキ属の7遺伝子座を用いて,小笠原諸島に分布する3種667個体の集団解析を行った.その結果,島内に分布する3種の識別ははっきりとできるものの,それぞれの種は非常に局所的に分布しているため,その中に明瞭な遺伝構造はみられなかった.今後,その他の分類群に関しても,有効なマーカーを用いて集団解析を行う予定である.
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Research Products
(2 results)