2010 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋、ベーリング海、北極海における植物プランクトン生態系の気候変動への応答
Project/Area Number |
10J05808
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小野寺 丈尚太郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | 沈降粒子フラックス / 珪藻 / 珪質鞭毛藻 / 北太平洋 / ベーリング海 / 生物海洋学 |
Research Abstract |
1.北極海における海洋観測とセディメントトラップ係留系の設置 2010年9月~10月にかけて実施された海洋研究開発機構の観測船「みらい」の北極航海MR10-05に乗船参加し、本研究のメイン試料を得るためのセディメントトラップ係留系をノースウインド海盆とチャクチ海盆に1系統ずつ設置することができた。この試料は来年度に回収予定である。 2.西部北太平洋亜寒帯および亜熱帯におけるセディメントトラップを用いた珪藻沈降群集解析 北西北太平洋の亜寒帯観測点Station K2(47N160E)において2008年11月-2010年1月に得られた沈降粒子試料について、珪藻分析を行った。水深4810mの試料について、2005-2006年の結果と比べると、珪藻沈降フラックスは2009年6月に大幅に増加した。この時、珪藻群集も亜寒帯の外洋性種群が卓越する群集から、寒冷な沿岸域で春季に優占する群集へ一時的に大きく変化した。この変化は、千島列島沿いの沿岸珪藻種が沖合まで運ばれたことを示唆しており物質循環を考える上で重要な結果である。2010年度のブルーアースシンポジウムで口頭発表を行った。 3.ベーリング海および北太平洋北部における長期時系列試料の分析 Stations AB(57.5゜N177゜W)およびSA(49゜N174゜W)の2係留系で、一部の期間を除く1990年夏-2006年夏の長期時系列珪藻分析データが揃った。これまでの結果について、国内外で口頭発表を行った。珪質鞭毛藻については1994年までのデータを得た。北太平洋亜寒帯の珪質鞭毛藻群集は東西で群集組成が異なる。その地理分布の特徴を利用することにより、北部亜寒帯の中央に位置するStation SA周辺の表層水塊が東西のどちらの影響をより強く受けていたかを探ることができた(国際誌2010年11月受理)。
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Research Products
(4 results)