2010 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドギャップ半導体光受動素子・pn接合素子のモノリシック集積化UV分光器の実現
Project/Area Number |
10J05864
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡辺 直樹 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シリコンカーバイド(SiC) / フォトダイオード / 高温動作 |
Research Abstract |
本研究で提案しているワイドギャップ半導体光受動素子・pn接合素子のモノリシック集積化UV分光器を実現するために必要なデバイスである、高温動作シリコンカーバイド(SiC)pnフォトダイオードの実現に向けて研究を行った。本研究では500℃で動作可能なデバイスを想定しているが、そのような高温動作を主眼とした系統的な研究は皆無である。一方、フォトダイオードの動作特性はそのデバイス構造に大きく影響を受けるため、様々な構造のデバイスを試作し、その特性を評価・解析することで、高温におけるSiCのpn接合特性を明らかにすることが、高温動作SiC pnフォトダイオードの実現には必要となる。 今回はメサ型4H-SiCフォトダイオードを試作し、その特性を室温から300℃までの範囲で評価した。逆方向リーク電流の評価では、温度上昇とともにリーク電流が指数関数的に増大することがわかった。500℃で動作可能なデバイスを実現するためには、逆方向リーク電流を低減することが必要であると言える。また、光電流の温度依存性について評価を行い、温度上昇とともに光電流が増大することがわかった。これは4H-SiCの光吸収係数およびキャリア拡散長の温度依存性に起因すると考えられる。今後、これらの光電流への寄与を評価することにより、光電流の温度依存性の解明、および高温における少数キャリアの拡散過程を明らかにしていく。 このように本研究は、高温動作可能なSiC pnフォトダイオードの研究を通じて、実際に動作するデバイスを実現するだけではなく、温度変化によるキャリアの振る舞いを明らかにしていくことで、他のSiC電子デバイスの高温動作へ繋げることも可能であると言える。
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