2010 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期フタル酸エステル類曝露とヒト生殖系発達における疫学調査及び健康リスク評価
Project/Area Number |
10J05950
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 弥生 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フタル酸エステル / 尿中代謝産物 / 胎児期曝露 / 男性不妊 |
Research Abstract |
[1]GC-MS、HPLC-MSMSによる妊婦尿中フタル酸エステル類代謝産物分析、およびイソフラボン分析:妊婦計111名についての分析が終了した。 [2]成人期フタル酸エステル類曝露による影響:フタル酸エステル類は胎児期だけでなく、成人期の曝露によっても影響をおよぼす懸念が指摘されている。この調査では、都内の産婦人科に不妊相談に訪れ、男性不妊検査の対象となった男性のうち、本調査への協力の同意を得られた方々を対象とした。対象者の精液については、一般的な検査項目である、精液パラメータ(精液濃度、精子運動率、高速運動率、正常形態率)をクリニックにて検査スタッフが測定した。リクルートされた成人男性は42名であった。尿中のフタル酸エステル類代謝産物濃度は、既往の日本人データと同様であった。42名中、上記精液パラメータの基準値を満たした対象者14名であり、正常と非正常の対象者において、有意な尿中フタル酸エステル類代謝産物濃度の差は見られなかった(t検定、有意水準0.231~0.909)。次に、遺伝要因など、環境化学物質以外の影響を強く受けている可能性のある対象者を除き、精液パラメータ正常者のみにおける、尿中のフタル酸エステル類濃度と、精液パラメータとの関連について相関係数を算出した。主要なフタル酸である、DEHPの代謝産物MEHHPおよび、MEOHPと、精子運動率に有意な負の相関がみられ、MEHPと精液パラメータとの間には有意ではないものの、負の関連がみられた(r=-0.235~-0.407)。
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