2011 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期フタル酸エステル類曝露とヒト生殖系発達における疫学調査及び健康リスク評価
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10J05950
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 弥生 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 生殖影響 / 胎児期曝露 / 肛門性器間距離 / フタル酸エステル / イソフラボン / 日本人 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、フタル酸エステル類(以下PEs)による男性生殖系への影響について、ヒト集団を対象とした調査により、曝露と影響指標との関連を明らかにし、健康リスクを見積もることである。 これまで、妊娠期母親とその出生男児を対象とした前向き調査を行い、母親の妊娠中フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)曝露と出生男児の生殖影響指標(肛門性器間距離指標、AGI)との間に有意な負の関連が見られ、胎児期のDEHPやその代謝産物フタル酸モノエチルヘキシル(MEHP)への曝露により、男児の男性ホルモンレベルが低下することが示唆された。この曝露と影響の関連に基づき、日本人妊婦の曝露量と比較することとした。 1.PEsによる、男性生殖系へのリスクについて、本研究のみにおける関連に基づき推定した。母親の妊娠期尿中フタル酸モノエチルヘキシル(MEHP)濃度により、母男児111組を4つに群分けした。結果、母の尿中MEHP濃度が最も高い群において、出生した男児のAGIが他の群に比して有意に短かったことから、これを影響がみられる最も低い曝露レベルとし、日本人妊婦208名のデータと比較した。その結果、208名のうち17%程度がこの曝露レベルを超過することが推定され、AGIの減少が懸念された。リスクの低減化に資することを目的とし、次にMEHPの親化合物フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)について、曝露媒体調査を行った。 2.食事とハウスダストからのDEHP曝露の寄与を明らかにすることを目的とした。首都圏在住の日本人成人男女19名を対象とし、陰膳法による食事試料採取、およびハウスダストの採取を実施し、試料をクリーンナップ後GC-MSにより分析した。食事由来、およびハウスダスト由来の合計摂取量の内訳は、ハウスダスト(72±18%)、食事(28±18%)と推定され、ハウスダストの寄与が大きいことが示唆された。
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Research Products
(1 results)