2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞核内のアクチン・ミオシンファミリー間の協調によるクロマチン動態制御解析
Project/Area Number |
10J05962
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北村 大志 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アクチン関連タンパク質 / nuclear myosin 1 / クロマチン / Arp6 / 核内配置 / 核小体 / rDNA |
Research Abstract |
遺伝子発現を後天的に制御するために、核内ではクロマチンの空間配置や動態が制御されている。これらの機構は細胞の発生や癌化などと関連性があることが示唆されておりその重要性が明らかになってきたが、分子機構はほとんど不明で詳細な分子メカニズムの解明が期待されている。代表者はアクチンファミリーのArp6とミオシンファミリーのNM1が協調してこのメカニズムに関与していると考え、研究を開始した。 前年度に引き続き、Arp6とNM1が協調して機能している可能性のある場所を探索した。その結果、ヒトHeLaでは、細胞核内小器官である核小体で両タンパク質が共局在していることが明らかになった。核小体においてNM1はribosomal DNAの転写に関与していることが報告されていたので、Arp6の関与が疑われた。Arp6はrDNAの転写を担うRNA polymerase Iと結合していることを確認した。また、抗がん剤であるactinomycin DによりRNA polymerase Iの転写を阻害すると、核小体におけるArp6の局在はRPA194と共に動くことから、Arp6がrDNAの転写に関与することが示唆された。我々が以前に作成したニワトリDT40、Arp6 KO細胞でrDNAの転写を調べたところWTと比較して若干の現象が確認された。我々はArp6が細胞ストレス時に、rDNAの転写を制御している可能性を考え、glucose飢餓状態におけるrDNAの転写を阻害している可能性を考え同様の実験を行った結果、glucose飢餓状態では、WTのrDNA転写は減少するのに対して、Arp6 KO細胞では減少しないことが明らかになった。今後はArp6とNM1がrDNAの転写にどのように関与しているかを詳細に解析していく予定である。また、核小体は様々なストレスを感知する構造体であることが考えられており、Arp6-NM1が核小体に機能することで染色体の核内配置を制御している可能性についても研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
震災の影響で多少の遅れは生じたものの、細胞内でのArp6,NM1の局在解析については有意義な結果が得られた。Arp6-NM1の複合体が機能していると思われる核小体とよばれる領域を同定でき、この結果をもとに、Arp6-NM1複合体の核小体での機能解析を進めることができた。また、これらの結果を学会等で発表することで高い評価を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトHeLa細胞でArp6およびNM1の遺伝子発現をノックダウンする系を作製する。Arp6に関してはSiRNAのオリゴで作製を試みたが、効率が良くなかったので、HeLa細胞を用いてstable knock down細胞を作製することで更なる解析を進める。また、NM1についても同様の解析を行うことで、両タンパク質が細胞核内でお互いがどのように影響を及ぼしているかについて解析していく。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] The actin family member Arp6 and the histone variant H2A.Z are required for spatial positioning of chromatin in chicken cell nuclei2012
Author(s)
*Maruyama E., *Hori T., Tanabe H., Kitamura H., Matsuda R., Tone S., Pavel H., Habermann FA., Hase JV, Cremer C., Fukagawa T, Harata (*equal first authors)
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Journal Title
Jounral of Cell Science
Volume: (未定)(in press)
Peer Reviewed
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