2010 Fiscal Year Annual Research Report
コリン作動性神経の機能獲得に関するエピジェネティック制御機構の解明
Project/Area Number |
10J05975
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
相澤 修 日本大学, 生物資源科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コリン作動性神経 / コリンアセチル基転移酵素 / ヒストンアセチル化修飾 / ヒストン脱アセチル化酵素 |
Research Abstract |
コリン作動性神経において神経伝達物質であるアセチルコリンの生合成は、コリンアセチル基転移酵素(ChAT)により触媒される。このことから、コリン作動性神経におけるChATの発現は、機能獲得の最も特異的な指標として認められている。本研究では、コリン作動性神経のin vitroモデルであるNG108-15を用い、ChAT遺伝子発現に対するヒストンアセチル化修飾の役割について調べることを目的とした。未分化状態にあるNG108-15に対するヒストン脱アセチル化酵素阻害剤トリコスタチンA(TSA)の処理は、ChAT遺伝子発現を顕著に増加させた。この結果から、ヒストンアセチル化修飾はChAT遺伝子の発現、すなわちコリン作動性神経の機能獲得に重要な役割を担うことが示された。さらにジブチリルcAMPによって誘起されるChAT遺伝子発現とヒストアセチル化修飾の関係を調べた。分化過程におけるChAT遺伝子変異体発現をRTPCR法により解析した結果、MタイプChAT遺伝子が主要な転写産物であることが確認された。そこで、MタイプChAT遺伝子プロモーター領域のヒストンアセチル化修飾状態をクロマチン免疫沈降法により解析したところ、未分化細胞に比べ、分化誘導されたNG108-15のChAr遺伝子プロモーター領域は、高度にアセチル化された状態であった。以上の結果から、汎用される分化誘導剤によるコリン作動性神経への誘導においても、ChAT遺伝子の発現はプロモーター領域でのヒストンアセチル化状態の変化により制御されることが確認された。現在は、いずれのヒストン脱アセチル化酵素がChAT遺伝子の発現制御に関与するかについて検討中である。
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