2010 Fiscal Year Annual Research Report
カイコがもつ感染抵抗性因子を利用した昆虫ウイルス感染機構の解明
Project/Area Number |
10J06163
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 克彦 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫ゲノム研究・情報解析ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | カイコ / カイコ濃核病ウイルス / Densovirus / 抵抗性遺伝子 / nsd-1 |
Research Abstract |
私の研究目的は、カイコ濃核病ウイルスの感染機構の解明である。それにあたり、私は特定のカイコがゲノム上にコードするカイコ濃核病ウイルス抵抗性遺伝子(ウイルス感染に関わる宿主側の因子)に着目し、その単離とウイルスとの相互作用の解析を進めている。 私は、これまでの研究によりカイコ濃核病ウイルス1型抵抗性遺伝子nsd-1(non-susceptibility to DNV-1)の候補遺伝子の単離に成功し、さらにその遺伝子産物が、1回膜貫通型のタンパク質で、濃核病ウイルスの感染組織である中腸内腔側の細胞表面で発現していることを明らかにした。しかし、本遺伝子が本当にウイルス抵抗性遺伝子であるのかについてはまだ証明できていない。そこで、形質転換カイコを作出し、本遺伝子が、ウイルス抵抗性の原因遺伝子として機能しているかどうかを調査した。 形質転換にはGAL4/UAS系を用い、nsd-1候補遺伝子の対立遺伝子である優性の感受性遺伝子候補(+^<nsd-1>)を抵抗性カイコに導入した形質転換カイコを作出した。はじめに、作出した形質転換カイコの中腸において、導入遺伝子が発現しているのかどうかを調査した。RT-PCRの結果、導入遺伝子の発現が検出されたことから、目的の形質転換体が得られたと判断した。続いて、濃核病ウイルス1型を接種した形質転換カイコの中腸におけるウイルス感染の成否を、RT-PCRおよび中腸切片の免疫染色実験により調査した。RT-PCRでは、ウイルス由来の転写産物は、形質転換カイコだけで顕著に検出された。また免疫染色においても、形質転換カイコの中腸だけで、ウイルスが感染した核が観察された。これらの結果は、単離した候補遺伝子がウイルスの感染性に関与していることを示していることから、私は、本遺伝子をカイコ濃核病ウイルス1型抵抗性遺伝子nsd-1と結論した。
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[Journal Article] Non-molting glossy/shroud encodes a short-chain dehydrogenase/reductase that functions in the "Black Box" of the ecdyster oid biosynthesis pathway2010
Author(s)
Ryusuke Niwa, Toshiki Namiki, Katsuhiko Ito, Yuko Shimada-Niwa, Makoto Kiuchi, Shinpei Kawaoka, Takumi Kayukawa, Yutaka Banno, Yoshinori Fujimoto, Shuji Shigenobu, Satoru Kobayashi, Toru Shimada, Susumu Katsuma, Tetsuro Shinoda
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Journal Title
Development
Volume: 137
Pages: 1991-1999
Peer Reviewed
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