2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドキソルビシンの新規作用標的タンパク質の同定及び生体内作用メカニズムの解明
Project/Area Number |
10J06175
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
草柳 友恵 東京理科大学, 理工学研究科応用生物科学專攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ドキシルビシン / Fanconi anemia F protein / Fanconi anemia D2 protein / シスプラチン / モノユビキチン |
Research Abstract |
本研究では、ドキソルビシン(DOX)の新規作用標的タンパク質の同定及び生体内作用メカニズムの解明を目的とし、実験を行った、,これまでに、ドキソルビシン結合候補タンパク質としてFanconi anemia F protein (FANCF)を同定し、ヒト子宮頸癌由来HeLa細胞の細胞抽出液からのプルダウンアッセイによりDOXとFANCFの結合を確認している。今年度は、さらに他の手法によりDOXとFANCFの結合を確認するため、GST融合大腸菌組み換えタンパク質として発現させたGST-FANCFとDOXの結合試験を行い、GST-FANCFとDOXの結合を確認した,複数の手法により結合を確認するという点で、本実験は重要である。 またFANCFは、シスプラチンなどのDNA架橋剤によりDNAが損傷を受けると、他のFanconi anemia (FA)タンパク質群と複合体を形成し、Fanconi anemia D2 protein (FANCD2)をモノユビキチン化し、その下流でDNAの修復を行う。Fanconi anemia (FA)経路と呼ばれるこの修復機構にDOXが与える影響を検証するため、まず、シスフラチンを添加してHeLa細胞のFA経路を活性化し、FANCD2がモノユビキチン化を受ける事を観察した。次にシスブラチンとDOXを同時に添加したところ、FANCD2のモノユビキチン化が阻害された。ネガティブコントロールとしてシスプラチンと硫酸ビンブラスチンを同時に添加した場合は、FANCD2のモノユビキチン化は正常に行われた。この結果から、FANCD2のモノユビキチン化がDOXにより阻害される可能性が示された。これは、DOXが生体内での現象に作用する可能性を示したという点で重要な成果である。
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