2012 Fiscal Year Annual Research Report
環状オキシムの還元的環拡大反応を用いるメルシカルピン及びシャルテリン類の合成研究
Project/Area Number |
10J06216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩間 雄亮 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 還元的環拡大 / DIBALH / 医薬品候補化合物 / 多置換複素環化合物 / ジベンゾジアゼピン骨格 / ジベンゾアゾシン骨格 / オキシム / 酸化的骨格転位反応 |
Research Abstract |
DIBALHを用いたオキシムの還元的環拡大反応は、医薬及び医薬候補化合物の母核として用いられる芳香族環状第二級アミンを簡便に合成できるため、医薬の短工程かつ効率的な合成を可能とし、創薬における実用的な合成法として期待されている。昨年度、申請者は本方法論を用い、(-)-mersicalpine(1)の不斉全合成を達成した。すなわち、これまで研究してきた環状オキシムの還元的環拡大反応によるアゼピノインドール骨格の一挙構築を鍵とする、6ポット、9工程、総収率30%での不斉全合成を達成した。今年度は、本鍵反応のさらなる有用性を実証するため、主に二つの医薬候補化合物の合成に精力的に取り組んだ。研究実施計画に従い、それぞれジベンゾジアゼピン骨格およびジベンゾアゾシン骨格を効率的かつ独創的に構築することに成功した。AVP受容体拮抗剤の合成では、環拡大反応の基質であるオキシムの合成が困難であったが、亜硝酸t-ブチルとKHMDSの試薬の組み合わせが有効であることを見出すことができた。前立腺癌治療剤の合成においては、基質となるオキシムの芳香環に電子供与性基としてメチルチオ基を導入することで、高い位置選択性で環拡大反応が進行することを見出した。本反応は、わずかな電子密度の差で転位選択性を制御し擬対称化合物を非対称化できることから、多置換複素環化合物の選択的合成法として期待される。
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Research Products
(7 results)