2010 Fiscal Year Annual Research Report
プリンヌクレオチド合成経路によるがん幹細胞の未分化制御機構の解明
Project/Area Number |
10J06332
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大塩 貴子 金沢大学, がん研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 幹細胞 / がん幹細胞 / 未分化維持 / プリンヌクレオチド合成経路 / Nucleostemin |
Research Abstract |
申請者のグループでは、独自のNucleosteminを指標とした幹細胞マーキングシステムを確立し、がん幹細胞(tumor-initiating cell)の特定と未分化性維持機構の解明に取り組んできた。申請者はこのシステムを駆使し、プリンヌクレオチド合成経路で働く酵素Shmt1、Shmt2、Ppat、Atic(候補遺伝子)の発現量が幹細胞特異的に上昇しており、未分化性の維持に関与していることを見出している。本研究では、プリンヌクレオチド合成経路ががん幹細胞の未分化性の維持にどのように関わっているのか、その分子機構を明らかにする。申請者は、レチノイン酸存在下、もしくはLIF非存在下でES細胞を培養して分化させると、プリンヌクレオチド合成経路に関わる酵素(候補遺伝子)の発現量が低下することを明らかにした。さらに、ES細胞において候補遺伝子をノックダウンすると、未分化性の評価の一つであるアルカリフォスファターゼの染色性が完全に失われることはないものの減弱すること、細胞の形態が平坦になり、分化傾向を示すことを観察した。また、それらのノックダウン細胞は、未分化マーカーであるOct3/4の発現量の低下は見られなかったものの、外胚葉系の分化マーカーであるPax6の発現量の上昇を認めた。Pax6の転写は、Meis2、Sox2/3、Smad3、Nkx2.2などの転写因子やNotch、EGFRのシグナル経路によって促進されることが報告されている。そこで、候補遺伝子がどの経路を介してPax6の発現を制御しているかを現在検討中である。
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