2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J06340
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
木島 隆之 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トランスポゾン / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
本年度では、トランスポゾンに対しての古典的モデルに配列情報を加えたモデルへの発展をおこなった。トランスポゾンの転移活性は主にトランスポゾン自身がコードする転移に必須な酵素に依存する。そのため配列情報を用いることでより現実的に転移活性を記述した。また、フレームシフト変異など一度の突然変異により転移活性を失う場合も考慮した。トランスポゾンに対する自然選択としては、そのコピー数と挿入座位に対しての二種類の選択を考え、両選択が働く座位と数に対しての選択のみが働く座位とに分けてモデル化した。以上を考慮したモデルを基にC言語を用いてシミュレーションプログラムを構築しシミュレーションを行った。その結果コピー数動態に関しては、コピー数がほぼ平衡状態であり転移活性が(1)高い状態を維持、(2)徐々に減少、(3)一気に減少と(4)コピー数が振動の4つのパターンに大別できた。また、近隣結合法を用いてトランスポゾン配列の遺伝子系譜を描き、星状度を用いてその系譜の形状を定量的に評価した。この星状度と集団中の平均転移活性、活性を持つコピー数の割合との間にそれぞれ負の相関が見られた。これは、転移活性が高いコピーでは突然変異によって自身の枝を残しつつ多くの分枝ができるが、転移活性が低いまたは無いと自身の枝が消失するとともに新しい分枝ができる確率のほうが高いからと考えられる。今後は、コピー数の振動(パターン4)を生む要因に関しての理論的解析を行うとともに、このモデルをもとに集団動態(種分化や集団サイズの変動)を考慮した研究を行いショウジョウバエにおける実データとの比較検討を行う予定である。
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