2011 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス関連因子ALG-2の機能に関する構造生物学的解析
Project/Area Number |
10J06388
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
犬塚 達俊 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ALG-2 / PLSCR3 / exosome / palmitoylation / crystal structu / apoptosis |
Research Abstract |
アポトーシス関連因子として同定されたALG-2(apoptosis linked gene-2)は、カルシウム結合タンパク質である。これまでに、ALG-2は細胞内選別輸送に関わるAlix(ALG-2 interacting protein X)やスクランブラーゼファミリーに属するPLSCR3(Phospholipid scramblase 3)をはじめとする様々なタンパク質とカルシウム依存的に相互作用することが知られている。 PLSCRファミリーには5種類のアイソフォーム(PLSCR1-5)が存在する。PLSCR3はカルジオリピンの合成やミトコンドリアの内膜から外膜への移動に関与や、PLSCR3ノックアウトマウスは異常な脂肪蓄積が生じることが報告されている。しかし、未だPLSCR3の局在や分布、そして機能についての詳細は不明である。 私はPLSCR3を恒常発現するHEK293細胞(HEK293/PLSCR3)を用いて、細胞外に分泌するかどうか検討した。その結果、培養上清中にPLSCR3が検出された。これが培養上清中に存在しているPLSCR3は細胞が破裂したために漏れ出たものではないことを示すために、ショ糖密度勾配遠心分離法を行った。その結果、PLSCR3は約1.1g/mlの密度に存在した。エンドソーム内への陥入により形成される多胞体が細胞膜に融合した際に細胞外に放出されるエキソソームがこの密度に含まれる細胞外膜小胞として知られている。このことからPLSCR3はエキソソームとして分泌されることが考えられた。また、HEK293/PLSCR3をパルミトイル化阻害剤で24時間処理すると培養上清へのPLSCR3の分泌は減少した。これらの結果から、パルミトイル化がPLSCR3の細胞内の局在や細胞外への分泌において重要であることが明らかになった。 一方、PLSCR3の分泌へのALG-2の関与についても検討した。HEK293/PLSCR3細胞と、HEK293/PLSCR3/ALG-2KD細胞におけるPLSCR3の分泌量を比較したところ、HEK293/PLSCR3に比べてHEK293/PLSCR3/ALG-2KDは分泌量が減少した。これがstable lineに由来する現象か調べるために、HEK293/PLSCR3に対して一過性のALG-2発現抑制を試みたところ、その効果は見られなかった。したがって、現在のところPLSCR3の分泌に対するALG-2の作用は不明である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALG-2相互作用因子の一つであるPLSCR3はパルミトイル化依存的に細胞外膜小胞であるエクソソームとして分泌されることなど分泌メカニズムを明らかにしつつある。そして、これらの途中経過を日本生化学会、農芸化学会関西・中部支部合同大会、日本分子生物学会で発表することが出来た。 ALG-2との相互作用が分泌に与える影響については、変異体を用いた解析より、少なくとも一過性発現系ではその効果が認められなく、その生理的意義についてはさらに今後の解析に取り組む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
PLSCR3中のパルミトイル化されるCys残基をAlaに置換した変異体を作製し、HEK293細胞中に一過性過剰発現させ、免疫染色によって局在を観察すると野生型とは異なり、変異体は核内への特徴的な凝集が確認された。ファミリー因子であるPLSCR1が核内で転写活性因子として機能している報告があることからもPLSCR3も核内で転写調節因子としての機能について解析を行う予定である。また、ALG-2も核内に移行することからPLSCR3の核内の機能に関与している可能性があると考えている。したがって、今後もALG-2とPLSCR3の機能について更なる解析を進める予定である。
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