2010 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤構築過程におけるウシ内在性レトロウイルスの貢献
Project/Area Number |
10J06411
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仲屋 友喜 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ウシ / 胎盤 / 栄養膜細胞 / 内在性レトロウイルス / エンベロープ / 細胞融合 / 子宮内膜 / 組織特異的 |
Research Abstract |
申請者が同定した、胎盤で発現していたウシ内在性レトロウイルス(BERV)-K1、および-K2のエンベロープ遺伝子(env)が、ウシ胎盤形成過程において重要な栄養膜細胞と子宮内膜細胞との融合に関わるか否かを調べることを目的とした。FLAGタグを付けた各エンベロープタンパク(Env)発現プラスミドを構築し、Cos-7細胞に導入し、envのタンパク産生能をウエスタンブロット法により確認したところ、両Envともに前駆体タンパクを確認した。また、細胞融合に必須であるTM EnvはBERV-K1のみに確認できた。各Env発現細胞と子宮内膜細胞との細胞融合活性をルシフェラーゼアッセイ法により確認したところ、BERV-K1が高い活性を示したのに対し、BERV-K2の活性は低い値であった。リアルタイムRT-PCR法により、ウシ体組織における各env mRNAの発現量を確認したところ、BERV-K1 envは胎盤で特異的に多く発現していたのに対し、BERV-K2 envはほとんど発現していなかった。さらに、in situハイブリダイゼーション(ISH)法を用いて、胎盤における各envを発現する細胞を確認したところ、BERV-K1 envは栄養膜二核細胞(BNC)特異的に発現していたのに対し、BERV-K2 envの発現は確認できなかった。また、申請者が作製した抗BERV-K1 Envポリクローナル抗体を用いて、胎盤の免疫組織化学染色を行ったところ、ISH法の結果と同様にBERV-K1 EnvがBNC特異的に発現していることを見出した。以上より、BERV-K1 EnvがBNCと子宮内膜細胞との融合において、中心的な役割を担うことが強く示唆された。
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