2011 Fiscal Year Annual Research Report
大きいグループにおける協力行動に対する遺伝的浮動を考慮した確率論的アプローチ
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10J06423
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒川 瞬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 社会行動の進化 / 有限集団 / 数学モデル / 包括的適応度理論 / 進化ゲーム理論 / 囚人のジレンマ / 利他的な罰 / 嫌がらせ |
Research Abstract |
○非血縁個体間の協力行動の進化を説明するために考案されたメカニズムの一つとして、利他的な個体がコストを個人的に負って非協力を罰するというものがあるが、これは、2次のただのり、非協力者を捕まえる難しさ、そして、報復を引き起こす可能性をもたらします。この約束のメカニズムを改良するために、ひとたび非協力者が捉えられたら罰が引き起こされ、罰のコストは等しくグループの残りの人たちに分け与えられる、珍しいが厳しい罰を伴う公共財ゲームの拡張をここでは我々は提案します。罰の確率があるしきいちを超えれば有限集団において協力が進化的に安定な戦略で非協力が進化的に安定でない戦略であることと、この方法の罰は非協力を抑止する全体のコストを減らすことが特に大きい集団において可能であることを、解析の結果示しました。この結果は、Theoretical Population Biologyに掲載されました。 ○社会行動の進化は理論的にたくさん調査されてきました。大抵の研究は無限集団を仮定する一方で、有限集団を考えるときに起きる社会行動の進化の重要な面があります。ここでは動作主と社会的なパートナーの間の負の血縁度と、遺伝的浮動にハイライトを当てます。ここでは一般のn人ゲームを使って有限集団における社会行動の進化を探求します。まず、この問題に洞察を加える利得行列の変換を導入します。利得行列の変換を使って、混合した集団における戦略の比較優位と長期にわたる進化ダイナミクスを調査します。続いて利得行列の変換を一般化してマルチレベルセレクションがあるときの進化ダイナミクスを記述します。この解析は完全に進化ゲーム理論の枠組みの中であるが、本研究の結果は部分的に包括適応度理論と部分的に適合するように思われます。この結果は現在、Theoretical Population Biologyに投稿中です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Deng,K.,Li,Z.,Kurokawa,S.,and Chu,T.によるRare but severe concerted punishment that favors cooperation.がTheoretical Population Biologyに受理され、Shun Kurokawa and Yasuo IharaによるEvolution of social behavior in finite populations: a payoff transformation in general n-player games and its implicationsは現在投稿中です。このことから、おおむね順調に進展しているといえます。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、動作主と社会的なパートナーの間の負の血縁度に洞察を加える利得行列の変換を導入しました。その上でモランモデルを仮定して研究を進めましたが、ライトフィッシャーモデルを仮定して研究を進めることも有益であると思われます。ライトフィッシャーモデルを仮定した下での戦略の固定確率は部分的には先行研究で取り組まれましたが、それをn-player gameに拡張する事と、その場合の固定確率を変換した利得行列で書き表せられないかについて、今後は研究を進めます。
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