2011 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカでの高生産性イネ育種のためのNERICA遺伝子構成解明と選抜マーカー開発
Project/Area Number |
10J06429
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
小出 陽平 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | イネ / NERICA / QTL / リン酸欠乏耐性 / 到穂日数 |
Research Abstract |
本研究の目的は1.NERICAに存在するアフリカ栽培イネ由来の有用遺伝子およびアジア栽培イネ由来の収量性関連遺伝子の座乗染色体領域を明らかにし、遺伝子の選抜に利用可能なDNAマーカーを作出すること、および2.NERICAが潜在的に持つアジア栽培イネ・アフリカ栽培イネ間の雑種不稔遺伝子(不良形質)の座乗位置を決定しDNAマーカーを作出することである。本年度はアフリカ栽培イネ由来の有用遺伝子の座乗位置を明らかにするために、NERICAにアジア栽培イネを交雑して作成された雑種集団を用い複数の形質に関してQTL解析を行った。 昨年度までにリン酸欠乏圃場条件下における分げつ数の低下を指標とし、リン酸欠乏耐性に関するQTL解析を行ったところ、複数の染色体領域にQTLが存在することが明らかとなった。これらのQTLはアフリカ栽培イネに由来する対立遺伝子がリン酸欠乏耐性を増加させる効果があったことから、NERICAが持つアフリカ栽培イネ由来の有用遺伝子の一つであると考えられる。そこで今年度はDNAマーカーを用いて当該染色体領域が固定している系統の選抜を行った。今後この系統を用いて染色体置換マッピングを行い、QTL領域をさらに絞り込む予定である。 また、同様の集団を用いて到穂B数に関するQTL解析を行ったところ、複数の染色体領域にQTLが存在することが賜らかとなった。そこで今年度は、分離集団を用いてQTLの効果を確認するとともに、座上染色体領域0絞り込みを行った。その結果、検出されたQTLはすでに報告のあるイネの出穂期関連遺伝子の座上領域に存在することが明らかとなった。今後は当該遺伝子の塩基配列解析等を行い、NERICAの出穂日数に関与する遺伝子を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにNERICAを特徴づける形質のうち、リン酸欠乏耐性、到穂目数、雑種不稔性など複数の形質に関してQTLを検出することに成功しており、研究成果の公表に向けた準備が整っていることから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
NERICAの持つリン酸欠乏耐性や到穂日数を支配するQTLに関して、今後は染色体上の詳細な位置や遺伝子の塩基配列を解析することでQTLの原因遺伝子を特定し、選抜に利用可能なDNAマーカーを開発する予定である。また、NERICAの持つ他の有用形質としていもち病抵抗性に関する遺伝子座の解析を行う予定である。 計画を遂行する上での問題点は特にない。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Developmentof a multiline variety for blast resistance genes with an In dica-type elite rice (Oryza sativa L.) genetic background2011
Author(s)
Koide Y, Ebron LA, Kato H, Tsunematsu H, Telebanco-Yanoria MJ, Kobayashi N, Yokoo M, Maruyama S, Imbe T, Fukuta Y
Organizer
The 7th Asian crop science association conference
Place of Presentation
Bogor, Indonesis
Year and Date
20110927-20110930