2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10J06529
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮崎 健輔 北見工業大学, 工学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ポリプロピレン / 生分解性 / 時限分解性 / ポリエチレンオキシド / 酸化チタン / マイクロカプセル / リン酸八カルシウム |
Research Abstract |
汎用プラスチックであるポリオレフィン(PO)は、高分子量であるために生物の細胞膜を透過できず、生分解性に乏しいが、Oxo-biodegradationは、酸化促進剤を添加することで、微生物が分解可能な低分子量まで劣化・分解(非生物分解)し、その後、微生物によって分解(生物分解)を行う手法である。汎用プラスチックに生分解性を持たせるというものであり、従来のプラスチックの優れた物性をそのまま生かすことが出来る。我々は、POの一つであるポリプロピレン(PP)にTiO_2を含有したPEoマイクロカプセル(PEO/TiO_2酸化促進剤)を導入することで劣化を均一且つ従来の30倍に高速化し、生分解性を発現させる事に成功した。PPなどのPOのOxo-biodegradationでは、一般的に鉄触媒系を使い、熱酸化劣化を経て生分解を行うが、"PEO/TiO_2酸化促進剤"は日光下(光酸化劣化)でOxo-biodegradationが可能であり、より実用性が高い。さらに今回、PEO/TiO_2酸化促進剤に用いるTiO_2にジカルボン酸挿入リン酸八カルシウム(OCPCで表面修飾を施し、用いた。PEOの光分解で生成する酸がOCPCを溶解させ、TiO_2光分解反応を開始させる水ならびに自動酸化劣化に対して促進効果を持つコハク酸(ジカルボン酸)イオンを放出させ、自動酸化劣化(非生物分解)をさらに促進させることを見出した。また、OCPC溶解時に放出される可溶性無機リン酸塩は、微生物の養分となり生物劣化を促進させていた。さらに、TiO_2の修飾条件を変えることで劣化速度を制御に成功し、時限分解性PPの開発に成功した。しかしながら、低弾性率体であるPEOを添加しているため、材料のヤング率が減少、また、親水性であるPEOを使用しているため、水ぬれの際にPEOマイクロカプセルごとがTiO_2溶出という問題があった。そこでさらに、PP/Cellulose複合材料への"PEO/TiO_2酸化促進剤"の適用を行った。複合材料に生分解性を付与し、ヤング率の約2倍の向上に成功した。また、水濡れ時のTiO_2の保持性も改善されていることが分かった。フィルム厚を変化させた光劣化試験では、劣化促進剤の拡散性も確認できた。
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Research Products
(4 results)